新宿区議会 > 2010-06-09 >
06月09日-07号

  • "成立"(/)
ツイート シェア
  1. 新宿区議会 2010-06-09
    06月09日-07号


    取得元: 新宿区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-08-13
    平成22年  6月 定例会(第2回)     平成22年第2回定例会会議録(第1日)第7号平成22年6月9日(水曜日)出席議員(37名)   1番   有馬としろう     2番   中村しんいち   3番   野もとあきとし    4番   吉住はるお   5番   平間しのぶ      6番   おのけん一郎   7番   川村のりあき     8番   あざみ民栄   9番   鈴木ゆきえ     10番   赤羽つや子  11番   ひやま真一     12番   佐原たけし  14番   おぐら利彦     15番   のづたけし  16番   なす雅之      17番   すえき 亮  18番   志田雄一郎     19番   阿部早苗  20番   近藤なつ子     21番   小松政子  22番   くまがい澄子    23番   深沢としさだ  24番   下村治生      25番   宮坂俊文  26番   桑原公平      27番   根本二郎  28番   えのき秀隆     29番   小野きみ子  30番   久保合介      31番   沢田あゆみ  32番   雨宮武彦      33番   小畑通夫  34番   とよしま正雄    35番   かわの達男  36番   山田敏行      37番   田中のりひで  38番   松ヶ谷まさお---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名  区長      中山弘子    副区長     永木秀人                  総合政策部長                  (新宿自治  区長室長    寺田好孝            猿橋敏雄                  創造研究所                  担当部長)  総務部長    野口則行    地域文化部長  酒井敏男  福祉部長  (社会福祉           子ども家庭          小栁俊彦            伊藤陽子  協議会担当部長)        部長                  みどり土木  健康部長    八十恒人            野崎清次                  部長  環境清掃部長  伊藤憲夫    都市計画部長  鹿島一雄                  企画政策課長                  (新宿自治  会計管理者   河原眞二            針谷弘志                  創造研究所                  担当課長)  財政課長    木城正雄    総務課長    木全和人  教育委員会           教育委員会          石崎洋子            蒔田正夫  教育長             事務局次長  選挙管理  委員会     今野 隆    常勤監査委員  布施一郎  事務局長  監査事務局長  濵田幸二---------------------------------------職務のため出席した議会事務局職員  局長      名取伸明    次長      米山 亨  議事係長    武藤 弘    議事主査    佐藤勇治  議事主査    岸川 裕    議事主査    井口浩子  議事係主査   濵野智子    書記      落合幸子---------------------------------------  速記士     田中まゆみ---------------------------------------6月9日   議事日程 日程第1 代表質問 日程第2 議員の派遣について 日程第3 第53号議案 平成22年度新宿区一般会計補正予算(第2号)--------------------------------------- △開会・開議 午後2時00分 ○議長(深沢としさだ) ただいまから、平成22年第2回新宿区議会定例会を開会します。 本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、  10番 赤羽つや子議員  32番 雨宮武彦議員を指名いたします。--------------------------------------- ○議長(深沢としさだ) 本日の会議時間は、議事進行の都合により、あらかじめ延長します。--------------------------------------- ○議長(深沢としさだ) 次に、事務局次長に諸般の報告をさせます。 ◎議会事務局次長(米山亨) 区長から、 1、平成22年第2回新宿区議会定例会の招集について 2、第53号議案など19件の議案送付について 3、平成22年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について 4、地方自治法施行令第146条第2項の規定による平成21年度新宿区一般会計繰越明許費繰越計算書について 5、専決処分の報告について 教育委員会委員長から、 1、平成22年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について 監査委員から、 1、平成21年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(3月分) 2、平成21年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(出納整理期間4月分) 3、平成22年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(4月分) 選挙管理委員会委員長から 1、平成22年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について---------------------------------------                           22新総総総第524号                           平成22年5月31日 新宿区議会議長  深沢としさだ様                         新宿区長  中山弘子         平成22年第2回新宿区議会定例会の招集について このことについて、本日裏面写しのとおり告示したので通知します。 (裏面)(写) 新宿区告示第289号 平成22年第2回新宿区議会定例会を6月9日に招集する。  平成22年5月31日                         新宿区長  中山弘子---------------------------------------                           22新総総総第528号                           平成22年6月2日 新宿区議会議長  深沢としさだ様                         新宿区長  中山弘子               議案の送付について 平成22年第2回区議会定例会に提出のため、下記議案を送付いたします。                 記 1 第53号議案 平成22年度新宿区一般会計補正予算(第2号) 2 第54号議案 平成22年度新宿区一般会計補正予算(第3号) 3 第55号議案 新宿区職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例 4 第56号議案 新宿区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 5 第57号議案 新宿区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例 6 第58号議案 新宿区特別区税条例の一部を改正する条例 7 第59号議案 新宿区立地域交流館条例の一部を改正する条例 8 第60号議案 新宿区立児童館条例の一部を改正する条例 9 第61号議案 新宿区学童クラブ条例の一部を改正する条例10 第62号議案 新宿区助産の実施又は母子保護の実施に係る費用徴収条例の一部を改正する条例11 第63号議案 新宿区保育所保育料徴収条例の一部を改正する条例12 第64号議案 新宿区国民健康保険条例の一部を改正する条例13 第65号議案 新宿区自転車等の適正利用の推進及び自転車等駐輪場の整備に関する条例の一部を改正する条例14 第66号議案 新宿区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例15 第67号議案 新宿区幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例16 第68号議案 新宿区立の小学校、中学校及び特別支援学校の非常勤の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例17 第69号議案 新宿区立図書館条例の一部を改正する条例18 第70号議案 新宿区立四谷保育園等改修工事請負契約19 第71号議案 新宿区同報系防災無線デジタル化工事請負契約---------------------------------------                           22新総総総第50号                           平成22年4月1日 新宿区議会議長  深沢としさだ様                         新宿区長  中山弘子  平成22年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) このことについて、平成22年4月1日付け人事異動により、下記のとおり変更しましたので通知いたします。     〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           22新総総総第662号                           平成22年6月1日 新宿区議会議長  深沢としさだ様                         新宿区長  中山弘子    平成21年度新宿区一般会計繰越明許費繰越計算書について(報告) このことについて、地方自治法施行令第146条第2項の規定に基づき、別紙「平成21年度新宿区一般会計繰越明許費繰越計算書」を提出します。     〔別紙は省略〕---------------------------------------                           22新総総総第602号                           平成22年6月4日 新宿区議会議長  深沢としさだ殿                         新宿区長  中山弘子              専決処分の報告について このことについて、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180号第2項の規定に基づき、別紙のとおり報告します。     〔別紙は省略〕---------------------------------------                           22新教教管第77号                           平成22年4月7日 新宿区議会議長  深沢としさだ様                  新宿区教育委員会委員長  白井裕子  平成22年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) 平成22年4月1日付けの人事異動に伴い、地方自治法第121条に基づく議会への出席者を下記のとおりとしたので通知します。     〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           22新監査第111号                           平成22年4月23日 新宿区議会議長  深沢としさだ殿                        新宿区監査委員  繁田勝男                           同     布施一郎                           同     山岸美佐子                           同     くまがい澄子    平成21年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(3月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。     〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           22新監査第177号                           平成22年5月25日 新宿区議会議長  深沢としさだ殿                        新宿区監査委員  繁田勝男                           同     布施一郎                           同     山岸美佐子                           同     くまがい澄子  平成21年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(出納整理期間4月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。     〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           22新監査第178号                           平成22年5月25日 新宿区議会議長  深沢としさだ殿                        新宿区監査委員  繁田勝男                           同     布施一郎                           同     山岸美佐子                           同     くまがい澄子    平成22年度新宿区歳入歳出例月出納検査の結果について(4月分) このことについて、地方自治法第235条の2第3項の規定に基づき、下記のとおり報告します。     〔巻末諸報告の部参照〕---------------------------------------                           22新選管第49号                           平成22年4月1日 新宿区議会議長  深沢としさだ殿                  新宿区選挙管理委員会委員長  羽深眞二  平成22年中における新宿区議会に説明のため出席させる者の変更について(通知) このことについて、平成22年4月1日付け人事異動により、下記のとおり変更したので通知いたします。     〔巻末諸報告の部参照〕--------------------------------------- ○議長(深沢としさだ) 会期についてお諮りします。 本定例会の会期は、本日から6月18日までの10日間にしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(深沢としさだ) 異議なしと認めます。 会期は、本日から10日間と決定いたしました。--------------------------------------- ○議長(深沢としさだ) これから本日の日程に入ります。 日程第1、代表質問を行います。 質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、12番佐原たけし議員。     〔12番 佐原たけし議員登壇、拍手〕 ◆12番(佐原たけし) 私は、自由民主党議員団を代表して、区長及び教育委員会に質問いたします。誠意ある御答弁をお願いいたします。 鳩山内閣は、8カ月で崩壊しました。鳩山総理の無責任な言動は国民の信頼を失い、辞任は当然のことであります。     〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 普天間飛行場移設問題では、自公政権が大変な苦労の末、ようやく沖縄県知事、名護市長の了解を得た辺野古案を、できもしない「最低でも県外」と言ってほごにし、沖縄県民に県外移設の期待を抱かせました。しかし、結局は辺野古へと逆戻りしてしまいました。これでは沖縄県民の怒りを買うのは当然であります。このような状況では、この日米間の合意の実現も危ぶまれます。そうなると、普天間基地が継続することになり、最悪の事態を招くことになります。 また、政治と金の問題も鳩山総理、小沢幹事長の辞任で済むものではありません。この説明責任はきちんと果たすべきであります。     〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 さらに、今回の後継者選びも問題があります。民主党の代表選びは、内閣総理大臣を決めることであります。これが、鳩山総理が辞任表明をしてわずか2日で決めるとは、余りにも短過ぎます。ここはもう少し時間をとり、国民にも、後継者にだれがいいか考える時間を与えるべきであります。今のやり方は、単に看板のかけかえにすぎません。これでは国民の信頼は得られない無謀な内閣改造と言うよりほかにありません。 けさの報道によりますと、新閣僚の事務費問題が浮上しました。このことについてもしっかりと説明責任を果たしていただきたいと、以上をもちまして質問に入らせていただきます。 中山区政も2期目の任期を終わろうとしています。そこで、中山区政2期目の総括についてお聞きいたします。 この4年間を振り返ってみますと、区政を取り巻く状況は、経済的にも社会的にも、また地方自治にとっても大きな変動があった4年間だと思います。景気の低迷からやっと回復の兆しが見えてきたところで、平成20年9月のリーマンショックに端を発した世界同時不況の影響から、社会経済情勢は混迷の度合いを深め、なかなか先の読めない不安定な時代に入りました。 一方、地方自治においては、平成18年12月に、国から地方へ権限移譲するための基本理念を盛り込んだ地方分権推進法成立し、第2期の地方分権の歩みが始まりました。また、東京都と特別区の間では、都区間の役割分担について財源配分のあり方も含め検討が始まり、この検討は今も進められています。 こうした国や都の動きとともに、新宿区は、みずからの地域をみずからの責任で決定していくための能力と体力を一層磨くことが求められてきました。 こうした時代の動きの中、新宿区では、区民参加による基本構想、総合計画を策定するなど、地方政府として住民視点での区政を推進してきました。また、行財政改革も進め、財政的対応力を高めるとともに、経済状況が厳しい局面を迎えると、時宜を逃さず、緊急経済・雇用対策を実施するなど、機動的、柔軟に対応し、区民生活を支えるための区政運営を行ってきました。このような中山区政を我々自民党区議団は高く評価しております。 こうした時代の区政運営のかじ取りは、区長自身が大変御苦労されたことと思います。そして、この11月には2期目の区長任期が満了となり、区長選挙が行われます。現下の区政を取り巻く状況は依然として厳しい状況にあり、区民生活を支え、守るためには課題も山積しております。また、現在は、地方分権、地域主権の分水嶺にあります。 私たちは、こうした環境の中、さらに4年間、中山区長とともに「『新宿力』で創造する安らぎとにぎわいのまち」の実現に取り組みたいと考えております。また、多くの区民から、区長の区民の視点に立った区政運営や行動力、新宿に対する熱い思いに期待する声が多く寄せられています。 そこで、2点についてお聞きいたします。 1点目は、この任期中の区政運営について、区長御自身はどのように総括されますのでしょうか、その御見解をお聞きします。 2点目は、3期目に対する出馬の決意を明らかにされるべきではないかと思いますが、中山区長の御所見をお聞かせください。 ◎区長(中山弘子) 佐原議員の御質問にお答えします。 まず、私の任期2期目の区政運営の総括についてのお尋ねです。 私は、この間、現場現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政運営、公正かつ透明性の高い区政運営、区民との協働と参画による区政運営の3つの基本姿勢のもと、基本構想や総合計画を策定してまいりました。 また、区民が安心して心豊かに住み続けられるよう、限られた資源を効果的、効率的に投入することにより、待機児童解消対策特別養護老人ホームの整備などの少子高齢社会への対応、地球温暖化対策セーフティネット機能の充実など、さまざまな課題に取り組んでまいりました。 私は、この4年間でこうした区政運営を進めることにより、基本構想や総合計画で示した方針を着実に実行することができたと考えております。 次に、3期目に対する決意についてのお尋ねです。 私が、区長に就任してから7年7カ月が過ぎようとしています。この間、私は、区民を初め区議会及び多くの方々の御理解、御協力を得て、区政を取り巻く課題の解決に努力してまいりました。時代はまさに大きな転換期を迎えています。私は、区民生活の不安を払拭し、だれもが夢と希望の持てる、人にも地球にも優しい地域社会をつくることが、地方政府としての新宿区の使命であると考えています。 こうした考え方に立って、私は多くの皆様の賛同を得て「『新宿力』で創造する安らぎとにぎわいのまち」の実現に向けて引き続き区政を担ってまいりたいと考えております。 ◆12番(佐原たけし) 次に、区が所有する文化資源の把握と管理について質問いたします。 去る4月28日に「佐伯祐三アトリエ記念館」が落合にオープンしました。これに先立ち、3月27日から5月9日まで「佐伯祐三展」が歴史博物館で開催されました。この佐伯祐三展には、佐伯祐三の作品40点が展示されましたが、大阪市、神戸市、田辺市など遠い関西からの協力を得た大変力の入った企画展であったように思われます。入場者も6,000人を超える大好評であったと聞いております。 この企画を準備された皆さんの苦労も大変なものであったことと思いますが、その苦労が実った企画展だったのだと思います。準備に苦労なさった皆さんの労を多としたいと思います。 ところで、展示の中でひときわ目立つ絵画があったとのことであります。実は、私は都合かつかずに見学することができませんでしたが、それは「落合風景」という50号の絵で、その所属は落合第一小学校となっていたとのことであります。落合第一小学校は、明治25年の開校であり、佐伯祐三は大正9年に落合に居を構えておりますので、何らかの関係で寄贈されたのではないかと思われます。 そのことを聞いて思ったことがあります。このことは前々から思っていたことですが、それは、新宿区にこれまでに有名な小説家や芸術家など、多くの文化人が住んでいました。佐伯祐三もその中の一人であります。これら高名な文化人の作品や書が区に所有されていないだろうかと常々思っていました。 新宿区には、現在29校の小学校がありますが、そのうち明治に開校された学校が10校、大正に開校された学校が8校と、大変歴史のある学校が多くあります。また、平成に入って統合された学校は4校ありますが、これらの学校も歴史的に明治、大正に開校され、校名が変わっただけであり、学校としては大変古い歴史を有する学校であります。 そこで、落合第一小学校と佐伯祐三のように、何らかの縁で高名な文化人から絵画や書など価値の高い文化資源が寄贈され、学校で所有されている文化資源がほかにあるのではないかと、これはあくまでも一つの想像ですが思いました。 そして、そのような価値のある絵画等がどのように保管されているのかも気になりました。もしそのような事実があったとしても、学校で管理は怠りなくしているとは思いますが、例えば絵画などはその管理状態によっては痛みが進む場合もあります。貴重な文化資源が台なしになってしまう場合も考えられます。 したがって、管理はより専門的知識、経験を有するところで管理するのがよいのではないかと思われます。例えば所属は固有の学校にして、現物は歴史博物館で一括管理し、所属校には複製を置くことにする方法もあるのではないかと思います。 それには、まず、小学校のみならず区の施設でどんな文化資源を保有しているか、その現状を把握するのが必要だと思いますが、その把握がなされているのでしょうか。もう既にその実態を把握しているということであれば、最上の取り組みがなされていることであり、何も申し上げることはありません。 そこでお聞きしたいことは、これらの把握はなされているのでしょうか。もし把握がなされているのであれば、どの施設でどのような文化資源を所有し、その管理状況はどのようになされているのか、具体的に幾つか例を挙げてお示しください。もしすべてが把握されていないとしたら、その調査をし、管理を先ほど申し上げたような方法で一括管理することについてはどのように思われますか、その考えをお聞かせください。 ◎区長(中山弘子) 区所有文化資源の把握と管理についてのお尋ねです。 新宿区が所有する文化資源の把握と適正な管理についてですが、区では、区役所本庁舎に設置している名誉区民富永直樹氏の「素晴らしき一日」の像や、角筈地域センターの入り口にある氏家慶二氏のモニュメントなど、寄贈や購入等により取得した各区立施設の文化資源については、備品台帳でその内容を把握するとともに、それぞれの施設で公開を原則とした適切な保存管理を行ってきています。 また、これらの取り組みに加えて、学芸員と文化財の保護、普及ボランティアである文化財協力員の協働の取り組みにより、これまで小学校15校で学校資料調査を実施し、川合玉堂が扇にかいた作品や、山岡鉄舟が学校名を書した額、宇宙飛行士ガガーリンが来校した際のサイン等を含む貴重な文化資源のリスト化と、保存状態の確認を行ってきているところです。新たに制定した新宿区文化芸術振興基本条例では、地域への愛着や誇りをはぐくむための歴史文化資源の保護、保存等については、文化芸術にかかわるすべての主体である私たち区民の共通の役割として定めています。 こうした条例の趣旨にのっとり、区民、学校等と一体となって引き続き区立施設における文化資源の把握を行うとともに、既に歴史博物館で実物を保管している御指摘のありました落合第一小学校所有の「下落合風景」のように、特に貴重かつ管理に配慮を要する文化資源については、博物館収蔵庫への保管を働きかけるなど、適正な保存管理に努めてまいります。 ◆12番(佐原たけし) 次に、福祉施策データの高齢者福祉に関して質問いたします。 昨年9月に発行された冊子、福祉施策データブックがあります。高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、生活福祉に関する事項について、主に平成17年度から20年度までの実態を数値であらわしてあり、大変わかりやすい内容になっております。 そして、新宿区に隣接する千代田区、港区、渋谷区、中野区、豊島区、文京区などとの比較が取り上げられている事業もあり、年度間や隣接区との対比もわかり、貴重な資料となっています。 私は、この中の高齢者福祉に関してお聞きしたいと思います。 高齢者福祉に関しては、介護保険事業など14事業が取り上げられています。それらの幾つかを見てみますと、例えば特別養護老人ホームの定員は、新宿区と隣接区6区では新宿区873人、次に多いのは中野区の715人、豊島区630人となっており、7区平均では約563人で、介護保険第1号被保険者100人当たりでは、新宿区1.47人、渋谷区1.57人、千代田区1.46人で、7区平均では1.37人となっており、新宿区の充実ぶりがわかります。 また、認知症高齢者グループホームでは、当区の定数は平成17年度65人が、平成20年度は78人にふえております。 また、第1号被保険者100人当たりの数値を7区平均で見てみますと、当区は0.13人、千代田区0.19人、港区と中野区が0.15人であり、平均は0.13人で、新宿区はちょうど平均であります。 次に、介護予防教室を見てみますと、この事業は平成18年度以降の実績がありますが、新宿区では若返りパワーアップ体操を初め、全部で10事業実施しています。平成20年度からのこれら10事業の参加状況は、年間延べ回数2,290回に対し、延べ参加者は2万1,624人、実参加人数は1,174人となっています。 そして、その効果について見ますと、平成18年度では参加実人数143人のうち、要支援及び要介護となった人が8人、したがって、要支援、要介護へ移行しなかった移行防止率は94.4%となっています。 同じく平成19年度、平成20年度を見てみますと、平成19年度は参加実人数464人で、移行防止率95.0%、平成20年度は758人で96.0%と、年々効果が上がっています。 また、隣接区との比較でこの事業の実施状況を見てみますと、新宿区の10事業に対し港区と文京区9事業、中野区7事業と、当区が一番多く事業を実施しています。 このように、幾つかの取り組みを見ても、新宿区は他に比べて進んだ取り組みがなされたことがわかります。 このような積極的な取り組みは、今後もぜひ続けていただくことを要望しておきます。 このデータの中でただ一つ疑問に思った事業があります。それは、高齢者クラブ事業であります。これは、58歳以上の方が対象となっているのだと思いますが、平成17年度から対象者は年々増加していますが、会員数はわずかですが減少しています。 平成17年度8,580人、18年度8,221人、19年度8,141人、20年度は8,000人台を割り、7,775人と平成17年度から9%ほど減少しています。 対象者がふえているにもかかわらず、会員が減っているのはなぜでしょうか。他区との比較で見てみますと、この事業は、隣接区ということでなく、中央区、文京区、杉並区の3区で示されていますが、この加入率は新宿区が10.3%、中央区14.6%、文京区11.0%、杉並区が5.4%になっており、確かにどこも加入率が高いとは言えないようであります。高齢者クラブの魅力がうせてきているのでしょうか。 確かに世の中の変化が激しく、高齢者の世代でも価値観が多様化してきており、高齢者だけが会員である集まりは、現在の時代に適合しがたくなっているのかもしれません。 そこで、2点についてお聞きします。 まず、1点目は、このデータ等も踏まえ、当区の高齢者福祉施策について区長はどのように評価されていますか。また、今後の取り組みにどのように役立てていくべきと考えられますか、その考えをお示しください。 2点目は、高齢者クラブについてであります。 対象者がふえているにもかかわらず会員が減っていることについて、その原因、今後の取り組みなどについての考えをお聞かせください。 私は、この高齢者クラブは、今後も必要な事業であると思いますことをつけ加えて質問といたします。 ◎区長(中山弘子) 福祉施策データブックの高齢者福祉に関してのお尋ねです。 まず、福祉施策データブックのデータ等を踏まえ、当区の高齢者施策をどのように評価し、また今後の取り組みに役立てていくかとのお尋ねです。 区は、平成21年度から23年度までの高齢者保健福祉計画及び第4期介護保険事業計画において、介護が必要になっても、いつまでも住みなれた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現、及び健康づくり、介護予防の推進を基本目標の中に位置づけております。訪問介護や通所介護の利用者数は、介護保険制度開始時から10年でほぼ倍増し、これらの在宅サービスは区民生活の中に浸透しています。 区は、この間、認知症高齢者のためのサービスや在宅療養を支援するための医療連携の仕組みづくりも進めてまいりました。この4月からは、医療、介護、福祉サービスを地域の高齢者に一体的かつ適切に提供するため、高齢者総合相談センターの機能強化を行いました。職員を倍増し、地域の高齢者の実態把握、相談、支援、地域ネットワークの構築などを確実に行うことで、高齢者とその家族の生活を総合的に支えるものです。 また、在宅での生活が困難になった高齢者に対しては、今年度新たに小規模特別養護老人ホーム等の複合施設1カ所と特別養護老人ホーム1カ所が開設されるなど、地域のセーフティネットとしての基盤整備を着実に進めることができました。 介護予防の推進に関しては、介護予防教室の充実とともに、この教室の参加者がみずから介護予防の取り組みを行う自主グループ活動への支援や、介護予防体操、新宿いきいき体操の普及などにも力を入れてきました。その成果が要支援、要介護に陥るリスクの軽減につながっているととらえております。 今年度は、来年度策定する次期高齢者保健福祉計画及び第5期介護保険事業計画に反映するための実態調査を実施します。今後、こうしたデータ等もあわせて、介護保険の基盤整備や地域包括ケア体制の実現、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けられるための支え合いの仕組みづくりなど、高齢者施策のさらなる推進に活かしていきたいと考えております。 次に、高齢者クラブについてのお尋ねです。 高齢者クラブは、高齢になっても、地域で活動しながら健康でいきいきと暮らしていくために、大きな役割を担っています。しかし、新規の加入者が少なく、会員数は年々減少しています。これは、御指摘のとおり、高齢者世代のライフスタイルや価値観の多様化によるところが大きいと考えております。 そこで、団塊の世代を含めた高齢者の参加意欲が高まるよう、その経験や能力を十分に発揮し、生きがいや喜びを感じることができる活動も意識していく必要があると考えています。 また、高齢者クラブの中には、毎月定例会を開催して会員の要望を運営に取り入れ、社会貢献活動や健康・生きがい活動等を積極的に行っているクラブもあります。今後も、活発なクラブの活動内容を紹介するなど、新宿区高齢者クラブ連合会とともに、魅力ある高齢者クラブづくりに取り組んでまいります。 ◆12番(佐原たけし) 次に、地域産業の古本屋支援について質問いたします。 新宿区の古本屋は、昭和30年ころ神田の古本店で修行した10人ほどの人たちが独立し、昭和40年前半から10年間に、古本屋が古本屋を呼ぶ形で地域に根差してきました。 早稲田地区に集まる本屋街も大学に近いという地の利を活かして、古くからの古書店街を形成し、現在も学生のみならず多くの愛好者に親しまれています。さまざまな地域資源を有効に活用することで、個性のある商店街として確立されています。地域ブランドとして新宿区には現在52店、早稲田地域に35店の古本屋があります。特に早稲田周辺は、古本のまち、あるいは古本の商店街として外部からも評価を受け、新宿の古本店は神田に次ぐ2番目の古本の集積地となっています。 事業も、大学の構内や神社境内で、また大型店舗の空き地などを利用して青空市を開催しています。しかし、後継者の問題や、古本業は目きき及び信用力--信用力というのは資金力をあらわしています、が必要な業種であり、特に本を選定する目ききが重要であります。ここが、他業種の小売店とは違い、継続性の難しさにつながっているものです。 また、最近は若者の本離れが進み、深刻な問題であります。販売方法もネット販売に乗り出さなければならない時代となっていますが、そのネット販売の実施の古本屋はまだ半数という状況であります。このような問題を抱えながら、地域産業として地域ブランドを守っていこうと努力している姿は、商店会の一員として心を打つものがあります。 新宿区産業振興プラン(平成20年度から平成29年度)に、地場産業とは印刷・製本関連産業及び染色業とあります。また、地域の伝統的産業や新たなものづくり産業の担い手を支援するとあります。その伝統産業、地場産業というのは、これまた印刷製本関連業と染色業、その他とあります。新たなものづくり産業とは、新製品・技術開発や販路開拓事業となっており、これらのものには新宿区はPRを促進すると明記しています。 そこで、何点かについて質問いたします。 1点目は、商店会の特性に合った施策の実現として、地域特性を活用して地域資源を再認識し、商店街を活性化するとありますが、古本屋はまさしく地域資源であり新宿力を高める地域産業の一つと考えます。 そこで、区長は、古書組合を産業振興施策としてどのような位置づけをし、どのような活動を期待しますか。 2点目は、古書の青空市は地域外集客力があるので、区外から声がかかることが多いと聞きます。しかし、新宿区にある古書街というブランドを高めるには、区内で定期的に開催することが望ましいことであります。 例えば旧コマ劇場前の広場や、新宿区役所本庁舎前スペースなど、区内にできるだけ数多く青空市の開催できる場所の確保が必要であると思いますが、場所の提供として区長のお考えをお聞かせください。 3点目は、他産業及び区のイベント事業とのコラボレーションとして、古本業は新宿区の地域産業であると認識し、いろいろな地域おこしのツールとして新宿力を高める手段に積極的にかかわる機会の提供をしてはいかがでしょうか、お答えをお聞かせください。 4点目は、商店街活動のPR促進事業としてマップやポスターの作成は、商店振興施策として商店会ステップアップ支援がありますが、新宿区の古書街という地域ブランドを強調するPRでも、助成の対象から外されます。区として、このような地域産業に真摯に取り組んでいる団体に対し、PR活動の助成はできないものでしょうか、お答えをお聞かせください。 ◎区長(中山弘子) 古本屋支援についてのお尋ねです。 まず、古書組合の産業振興施策における位置づけと活動への期待についてです。 御指摘のとおり、早稲田周辺、特に西早稲田地域には多くの古書店があり、古書組合が組織されています。例年、秋には大新宿区まつりの協賛イベントとして、「わせだ青空 古本祭」を開催するなど、積極的な取り組みを展開しておられます。また、集積するそれぞれの古書店が、歴史を初めとする古書や演劇、趣味、文庫などといった特色ある品ぞろえを前面に出した魅力ある古書店を営むことで、まちを歩くだけでも楽しめる空間が形成されています。まさに古書店街は、個性あふれる貴重な地域資源の一つであると考えています。 さらに、古書組合として活発な事業活動をしていただくことにより、活気とにぎわいのある魅力ある商店街づくりにつながっていくものと期待をしております。 次に、古本の青空市への場所の提供とイベント事業に関連した機会の提供についてのお尋ねです。 区では、商店街の活性化に向けて活動を行ってきた商店会サポーターを、平成21年度に1名増員し、各種同業組合に対してもサポート活動を始めたところです。現在、古書組合に対しても訪問活動を行い、サポートを進めております。 御指摘のとおり、活字離れが進む中、古書店が抱える課題は多いと考えます。今後より一層古書組合への訪問活動を強化し、古書店の活性化が地域の商店街全体の活性化につながるよう、古書店の皆様と一緒になって考える中で、御提案の場所と機会の提供についても支援していきたいと考えております。 御指摘の区役所本庁舎前スペースや区立大久保公園を活用した青空市の開催については、どのような形で提供できるか、検討してまいります。 また、毎年秋に開催されるふれあいフェスタには、5万人を超える多くの来場者が訪れます。このようなイベント会場へ出店し、広くPRすることも有効な取り組みだと思います。今後、出店に関しては、古書組合の意向を踏まえながら、大新宿区まつり実行委員会へ区としても働きかけてまいります。 次に、PR活動に対する助成についてのお尋ねです。 区内に集積する古書店街の魅力を内外にPRしていくことは、区が目指す活気とにぎわいのある商店街づくりを推進する上で大切なことと認識しております。今後、御指摘のPR活動への支援策について十分に検討してまいります。 ◆12番(佐原たけし) 最後に、教育委員会に質問いたします。 先月、「平成21年度・確かな学力の育成に関する意識調査報告」という冊子が出されました。この報告は、児童・生徒、児童は小学4年生と6年生、生徒は中学2年生、そして保護者、教員、地域、これは学校評議員、管理職を対象に行ったアンケート調査の結果をまとめたものであり、同じ質問事項は前年度との比較もされています。 この調査報告に関して何点か質問いたします。 まず、児童・生徒が置かれている生活環境では、家庭的には、「家庭の中で自分の役割や仕事がある」「家の人の態度や行動を手本にしている」「家の人から自分の考えを大切にしてもらっている」の項で見ますと、小学生ではいずれも70%から80%が「当てはまる」と答えています。中学生では、「自分の考えを大切にしてもらっている」は64%が「当てはまる」と答えていますが、他の2つは50%台となっています。 一方、保護者へのアンケートでは、「家庭の中で子どもに役割や仕事を持たせている」では、小学校の保護者は76%、中学校の保護者は70%は「持たせる」と答えており、「子どものよいところを認め、自信を持たせている」では、小・中学校とも90%が持たせていると答えています。ちょっと「では」「では」と続いて読みにくいんですが、聞き取りにくいと思いますが、これはアンケートの中での項目を示していますので、御理解をいただきたいと思います。 また、学校での「授業を受けるのが楽しい」かでは、小学生は70%強が「楽しい」と答え、中学生は50%にとどまっています。一方、友人関係では、「自分の気持ちや考えをわかってくれる友達がいる」かでは、小学生は約90%、中学生でも84%が「いる」と答えています。これからすると、小学生は良好な環境にあるように思われますが、中学生は独自性が出てくる年ごろでもあり、小学生ほどではないように思われます。 次に、授業に関しては、児童・生徒では、「先生が授業を工夫してくれてわかりやすい」では、小学生では80%台が肯定的な答えでありますが、中学生は51%であります。 また、「目当てを持って授業や勉強に取り組んでいる」では、小学校では60%から70%が、中学校では50%が「取り組んでいる」と答えています。「新しく習ったことは何度も繰り返して復習している」では、小学生で45%から54%、中学生では27%が復習をしていると答えています。 教員では、「積極的に学習しようとする態度が身についてきた」では、小学生では92%、中学生87%が「身についてきた」と答えており、「宿題を通じて家庭学習の習慣化に取り組んでいる」では、小学校87%、中学校では58%が「取り組んでいる」と答えています。 また、保護者では、「授業が工夫されており、わかりやすい」、「授業中、先生は子どもたちに声をかけ、丁寧に教えている」で、小学校では70%台、中学校では50%台が肯定的に答えています。 これらからは、先生の取り組みの熱意が感じられますが、中学校での生徒や保護者は、その受けとめがいま一歩の感があります。 次に、保護者や地域と学校の関係では、保護者では、「この学校に通わせてよかった」では、小学校で約90%、中学校で約80%が「よかった」と答え、「保護者や地域の声を学校運営や授業改善に生かしている」では、小学校で73%、中学校で65%が「生かしている」と答えています。また、学校評議員では、「地域と学校の相互理解が深まっている」では、小・中学校ともに90%を上回る評価がされています。このように、保護者、地域ともに学校との関係は良好だと答えています。 次に、当区が特に力を注いできた確かな学力推進員の効果について、児童・生徒では、「推進員に教えてもらっている」が、小・中学校ともに約70%、「丁寧に教えられるようになった」は、小学校で70%、中学校で74%となっており、「勉強がわかりやすくなった」は、小学校4年生で82%、小学校6年生で69%、中学校で66%となっています。教員では、「推進員が入ったことでより細かな指導が可能になった」、「推進員の授業はわかりやすい」「多様な授業に取り組めるようになった」では、約90%が評価しています。ただ、「忙しさが緩和された」では、約70%にとどまっています。これらからすると、児童・生徒にとっても先生にとっても、推進員の導入は効果のあることがわかります。 以上から感じられるのは、児童・生徒も良好な環境で前向きに勉強に取り組んでいるように感じられ、保護者も子どもを信じて期待しており、先生も熱心に積極的に取り組んでおられ、地域と学校も良好な関係が保たれているように感じられます。 ただ、疑問に思われることが2点あります。それは、先生の授業以外の事務の量と一部の理不尽な要求をすると思われる保護者の関係についてであります。先生の事務が多くて、それが授業に影響を及ぼしていると言われています。また、保護者の無体な要望で、その対応に困っているケースが多いとも言われています。 これらに関する先生の生の意向が聞けたらいいと思いますが、この点がこの意識調査では触れられていません。これらについて新宿区ではどのようなのかを直接現場の先生の声を聞き、今後の対応への参考にすることも意義あることではないかと思います。 そこで何点かについてお聞きします。 まず1点目は、この意識調査の結果について教育委員会としてはどのような見解を持たれたのか、お聞きします。 2点目は、児童・生徒の特に中学生に言えることですが、復習に取り組む生徒の割合が少ないことについて、その理由とこの実態についてどのように考えておられるのか、それをお聞きします。 3点目は、確かな学力推進員の導入に関して、忙しさが緩和されたとの評価が他の項目に比して低いことについては、どのように考えておられるかお聞きします。 最後に、この調査に取り上げられない先生の事務の量と一部の理不尽な要求をする保護者との関係について、新宿区の現状はどうなっているのか、また、今後の調査において取り上げる考えがあるのかをお聞きします。 ◎教育長(石崎洋子) 教育委員会への御質問にお答えします。 確かな学力の育成に関する意識調査報告についてです。 初めに、意識調査の結果に対する教育委員会の見解についてのお尋ねです。 昨年度実施した意識調査の結果からは、御指摘のとおり、小学生と中学生との意識の違い、学校と保護者、地域との良好な関係や区費講師導入の効果などが明らかになりました。また、子どもの生活等についての子どもと保護者の意識や、学校の取り組みに関する学校と保護者との意識の違いが見られました。 調査結果を踏まえ、教育委員会といたしましては、区費講師を効果的に活用し、成果を上げている学校の取り組みを各学校に広めるとともに、保護者、地域住民への学校教育のより一層の公開や広報に努めてまいります。 次に、復習に取り組む生徒の割合が少ないことについてのお尋ねです。 小学生と比較して中学生は、部活動に積極的に取り組むとともに、学習塾等に通うなどの理由で、復習に充てる時間が少なくなっていることが考えられます。また、生徒によっては、家庭での日常的な学習習慣が定着していないこともその要因の一つと考えられます。家庭で復習に取り組むことは、確かな学力を育成する上で重要であり、生徒本人や家庭への啓発に一層努めることが必要です。教育委員会では、昨年度から、放課後等学習支援を実施するとともに、全家庭に配布した教育ビジョンを紹介するリーフレットにおいて、学年掛ける10分を家庭学習の時間の目安として呼びかけるなど、家庭学習への具体的な取り組みを促しています。さらに、学校に対して、生徒に適切に宿題を出したり、保護者会や面談を通して、本人や家庭に働きかけたりしていくよう指導してまいります。 次に、確かな学力推進員の導入と、忙しさの緩和に関するお尋ねです。 今回の調査結果から、教員は学習指導面で確かな学力推進員の導入の効果を実感していることが明らかになっています。忙しさの緩和に関しては、確かな学力推進員が教員1人当たりにかかわれる時間がそれほど多くないことから、他の項目よりも若干低い結果となっていますが、小・中学校ともに70%を超える教員が肯定的な回答をしており、一定の成果を上げていると考えています。 次に、教員の事務量と一部の理不尽な要求をする保護者との関係についての区の現状についてのお尋ねです。 区においては、教員の事務量や理不尽な要求に関する調査を行っておりません。しかし、東京都教育委員会が平成20年9月に行った公立学校における学校問題検討委員会における実態調査の結果によれば、理不尽な要求等が繰り返し行われるなど、学校だけでは解決困難な事例がおおむね9%程度の小・中学校で発生しているという結果が出ており、本区も同様の実態にあると考えられます。 また、区教育委員会では、平成20年度に副校長と教員を対象に、負担を感じている事務処理について調査を行い、保護者の苦情等に負担を感じる教員の実態を把握いたしました。 意識調査の目的は、確かな学力の育成等に関して、児童・生徒、保護者、教員などの意識を把握し、その結果をもとに、よりよい教育活動を推進することです。したがいまして、今後の意識調査において、教員の事務量等を取り上げることは考えておりませんが、教員の職務状況や保護者との対応については、学校訪問や学校からの報告等により、その状況の把握に努めてまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆12番(佐原たけし) 区長及び教育委員会から誠意ある御答弁をいただき、ありがとうございます。また、質問が途中で順番が狂いまして御迷惑おかけしましたことをおわび申し上げます。 まず、区長の3期目の挑戦ですが、力強い出馬表明をお伺いして安心しております。我々自民党区議団は、区長の意思表明を歓迎して全員でしっかりと支援してまいりたいと、このように思って、自民党を代表しておこたえさせていただきます。 それから、古本の支援については、非常に前向きないい答弁をいただきました。実は、古本の皆さんのあれは財政的というよりも、狭くてもいいから定期的な場所の提供が一番だということをおっしゃっていましたので、区長の答弁は大変いい力強さを増して商売に励んでいくんではないかと感謝いたします。 それから、最後の質問になりました一部の理不尽な要求の保護者の件ですが、これは恐らく質問したくないし質問されたくない問題かと思いますが、やはりこれからそれを少しでも打開していかなくちゃいけない、道筋は開いていかなければいけないのかなと、そんなふうに思いながらお話を聞きました。 本当に区長を初め、教育委員会には大変誠意ある答弁をありがとうございました。(拍手)
    ○議長(深沢としさだ) ここで議事進行の都合により15分間休憩します。 △休憩 午後2時55分--------------------------------------- △再開 午後3時10分 ○議長(深沢としさだ) ただいまから会議を再開します。 質問を続行します。 3番野もとあきとし議員。     〔3番 野もとあきとし議員登壇、拍手〕 ◆3番(野もとあきとし) 平成22年第2回定例会の開会に当たり、新宿区議会公明党を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。何とぞ誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 平成19年4月に行われた新宿区議会議員選挙後の第2回定例会において、公明党を代表し、初めての質問をさせていただきました。それから3年が経過し、この間に100年に一度と言われる経済危機、新型インフルエンザ、そして昨年の政権交代から本年6月の鳩山総理退陣と、世の中は大きく変化しております。私は初心を忘れず、青年らしく、区民の皆様の御期待におこたえできるよう、全力で働かせていただく決意を申し上げ、質問に入ります。 質問の第1は、中山区政についてであります。 中山区政は、2期目の4年がもうすぐに終わり、一つの区切りを迎えようとしています。 そこで、これまでの中山区政についてお伺いします。 私どもから見て、この4年間の中山区政を総括しますと、1点目は、身近な政府として区民の生活実態を把握し、現場現実を重視した区政運営をされてきたことです。回復基調の経済状況が一瞬にして100年に一度とも言われる世界的な大不況に陥り、区民生活にとっても大変厳しい情勢となりましたが、新宿区においては、これまでの行財政改革などで培った財政対応能力を有効に活用し、区民生活を守り、支えるために、緊急経済雇用対策を実施するなど、区民の不安を払拭し、活力に満ちた地域社会づくりを進めてきたことは大変評価できることと思います。 2点目は、協働と参画による区政運営を進められたことです。 多くの区民の参加による区民会議の提言を受けての基本構想、総合計画の策定や、公募区民を含めた委員による外部評価制度の導入や、その結果の公表、また区民、議会、行政の協働による自治基本条例制定に向けた取り組みなど、新しい自治体運営のお手本となる取り組みがされてきたことと思います。 3点目には、時代を見据えた上で、区民の視点から必要とされる課題について的確に対応されたことです。少子高齢社会を迎え、保育園待機児解消策や子育て家庭への支援は、国の制度に先駆けた取り組みとなっています。また、高齢者が地域社会でいきいきと暮らすための参加の仕組みや居場所づくり、新たな就労支援への取り組みなど、自治体として先を見た中長期の課題にも対応されてきたことと思います。我々は、こうした中山区政を評価し、ともに推進してきたわけです。 そこで、区長に伺います。 第1の質問は、この3月に任期4年目の節目の予算を成立させた現在の心境をお聞かせください。 第2の質問は、区長はこの4年間、区政運営をされる中で最も心がけてこられたことは何でしょうか。 第3の質問は、私どもは引き続き中山区政に大いに期待するところですが、11月の選挙に向けて区長の決意のほどを伺います。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 野もと議員の御質問にお答えします。 まず、任期4年目の節目の予算を成立させた現在の心境についてのお尋ねです。 区長に就任して2期、4年目を迎える平成22年度は、第一次実行計画の折り返しを過ぎた3年度目に当たるとともに、私にとってもこれまでの取り組みの評価が問われる年であります。 現下の経済情勢は、高い水準で推移する失業率など、大変厳しい状況が続いています。平成22年度予算では、区がこれまで培った財政対応力を十分に活用し、厳しい経済情勢の影響を受けている区民の暮らしを積極的に支えるとともに、新宿の未来を展望した取り組みを推進する予算として編成しました。 急激な景気悪化の影響を受け、生活保護費などの扶助費が伸びる一方、企業収益の落ち込みなどから一般財源収入が大幅に減少する厳しい財政環境での編成でしたが、だれもが夢と希望を持てる「『新宿力』で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向け、着実な一歩をしるすことができたと考えています。 次に、この4年間の区政運営の中で、最も心がけてきたことについてのお尋ねです。 私が心がけてきたのは、「現場現実を重視した、柔軟かつ総合性の高い区政運営」、「公正かつ透明性の高い区政運営」、そして「区民との協働と参画による区政運営」であり、この3つの基本姿勢のもと、基本構想や総合計画を策定してまいりました。 また、区民が安心して心豊かに住み続けられるよう、限られた資源を効果的、効率的に投入することにより、待機児童解消対策特別養護老人ホームの整備などの少子高齢社会への対応、地球温暖化対策セーフティネット機能の充実など、さまざまな課題に取り組んでまいりました。 私は、この4年間でこうした区政運営を進めることにより、基本構想や総合計画で示した方針を着実に実行することができたと考えております。 次に、11月の区長選挙に向けた決意についてのお尋ねです。 私が区長に就任してから7年7カ月が過ぎようとしています。この間、私は区民を初め、区議会及び多くの方々の御理解、御協力を得て、区政を取り巻く課題の解決に努力してまいりました。時代はまさに大きな転換期を迎えております。私は、区民生活の不安を払拭し、だれもが夢と希望の持てる、人にも地球にも優しい地球社会をつくることが地方政府としての新宿区の使命であると考えています。 こうした考え方に立って、私は多くの皆様の賛同を得て、「『新宿力』で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、引き続き区政を担ってまいりたいと考えております。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第2は、今後の経済動向と財政運営についてであります。 現在の景気は緩やかに回復しつつあり、平成20年秋からのリーマンショックで痛手をこうむった日本経済が、ようやく立ち直りの兆しを見せ始めていると言われています。しかし、実感としてはその景気回復について直接肌に感じられるほどには至っていないと認識しています。 加えて、現下の経済情勢は、ギリシャの財政危機に端を発した市場の動揺やデフレ傾向への懸念など、今後も先行き不安要因を残しているのが実態であると考えます。区は、このような状況を的確に把握し、先行きを見通した上で今後も持続可能な財政運営に努めていくことが強く求められています。また、このようなときだからこそ、区民生活を守り支えることが区の役割として重要であると考えます。 そこで伺います。 1点目は、今後の経済や景気の動向についてです。 区は、現在、喫緊の課題に対してこれまで培ってきた財政対応能力を活用し、平成22年度予算の適切な執行に努められているものと思います。しかし、その一方で、平成23年度までの第一次実行計画の収支見通しでは、基金の取り崩しによる基金残高の減少が見込まれています。今後の景気動向など、状況の変化によっては区財政のかじ取りがより一層難しい局面を迎えるのではないかと考えます。 そこで、今後の経済や景気の動向をどのようにとらえているのか、まずお聞かせください。 2点目は、今後の財政運営についてです。 今回の景気後退局面の状況は、高い水準で推移している失業率に端的にあらわれているように、直接区民生活に大きな影響を及ぼしているものと認識しています。このような厳しい経済状況の中、区は区民生活を支え、区民の信頼にこたえていくことが強く求められます。 そこで、平成22年度予算の執行過程でどのような基本姿勢で財政運営に臨むのか、お伺いします。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 今後の経済や景気の動向についてのお尋ねです。 5月に政府が発表した1月から3月期までの国内総生産は、実質年率換算の速報値で4.9%増となり、5月の月例経済報告でも景気は着実に持ち直してきているとしています。 しかし、今春の大学新卒者の就職率が91.8%と、前年に比べ3.9ポイントも減少するなど、依然として厳しい雇用情勢が続いており、加えてギリシャの財政悪化に端を発した市場の不安など、今後の先行きは極めて不透明であるととらえています。 現下の経済情勢では、区財政への影響などを見きわめるため厳しく状況を注視していく必要があると考えています。 次に、平成22年度予算の執行過程でどのような基本姿勢で財政運営に臨むかについてです。 区財政を取り巻く厳しい環境は今後も続くものと想定していますが、これからも安定した行政サービスを提供するためには、引き続き区税等の一般財源収入の確保とともに、予算の執行過程においてもさまざまな角度から事務事業を分析、検証し、より効果的、効率的な行財政運営の実現に向けた不断の取り組みが重要であると考えています。 年度途中の状況変化について、機動的かつ適切に対応することはもとより、これからも将来にわたり健全で安定的な財政を確保してまいります。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第3は、区役所の区民サービスの質の向上についてであります。 1点目は、職員の接遇能力の向上についてです。 区が、平成20年3月に策定した人材育成基本方針の中に、目指すべき職員像として、当然ですが、接遇能力を高め、区民が必要とする情報をわかりやすく説明し、区民に満足度の高いサービスをする職員と明示されています。 さらに、区は、同年4月、職員の政策形成能力向上を目的に、新宿自治創造研究所を設立し、昨年7月に「参加と協働時代における自治体職員の役割」と題した名和田法政大学教授の講演を行うなど、職員の質、向上を進めてこられました。 しかし、そうした努力にもかかわらず、本年2月、障害者自立支援法をめぐる区の不名誉なニュースがマスコミに踊ってしまったのであります。さらに粘り強く区民サービスの向上に取り組む必要があると考えます。 外部調査機関による覆面調査も有効だと考えますが、新宿区はどのような方法で接遇力の向上を図っているのですか、お伺いします。 2点目は、区民目線の区役所の案内についてです。 先日、公明党の控室に区民の方より「中学生の塾代の支援策はないか」との電話をいただきました。同僚議員が教育委員会に問い合わせたところ、該当する制度はないとのこと。次に、社会福祉協議会に確認しましたが、やはりないとのことで、仕方なく、区民の方にその旨を連絡しているさなか、東京都の生活安定化事業の一環として、地域福祉課が窓口となり、区民健康センターの2階で、新宿生活サポート相談室として事業を行っていることがわかりました。担当以外の事業であっても、関連した事柄に関しての情報の共有化は必要と言えましょうが、多忙を極めている中では困難な場合もあります。 そこで1つ目に、こうした場合、情報案内を専門とするコールセンターが役立つのではないかと考えます。そのためには、データの更新等、機能アップが求められます。どのようになっているのか、更新サイクルを含め伺います。 2つ目は、コールセンターをいまだ知らない人や、あるいは知っていても電話することをちゅうちょする人がいるようです。区民に身近なコールセンターと認知されるためのさらなる工夫が必要だと考えますが、今後の周知方法について伺います。 3つ目は、区政情報センターの案内機能の拡充についてです。 コールセンターのデータ機能を利用するとか、あるいは内線電話で各課に問い合わせをして差し上げるといった案内機能の拡充で、区役所の親切度が大いにアップすると考えますが、御所見を伺います。 3点目は、区役所の土日開庁についてであります。 より便利な区役所を目指し、土日に窓口を開く区がふえていると、21年3月31日付、東京新聞で報じられておりました。同紙によると、23区では港、新宿、江戸川の3区を除き、少なくとも月1回は土日に窓口業務を行っているそうです。さまざまな勤労状況にある区民にとって、平日のみの区役所開庁が果たして区民の利便性の向上を目指していると言えるのかどうか、拡充をしても追いつかない保育園需要からいっても、共働き家庭は確実に増加しており、平日の開庁時間内に来庁することが困難な家庭もあるのではないでしょうか。 新宿区は、住民票や戸籍謄・抄本等を交付申請、受領に、窓口に開庁時間内に来庁できない方に郵便受け付けの便宜を図るとともに、毎週火曜日に区役所並びに出張所で夜7時までの開庁をしていますが、その効果を検証し、せめて月1回の土日開庁を区民サービスの向上を目指す上からも実施すべきと考えますが、御所見を伺います。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 区民サービスの質の向上についての御質問です。 最初に、職員の接遇能力の向上についてのお尋ねです。 区は、好感度一番の区役所の実現を区政運営の基本目標としており、御指摘のように、人材育成基本方針の中でも、職員に必要となる能力、姿勢として、接遇能力の向上を重点の一つとして掲げています。これまでも職員マナーブックの全職員への配付や、接遇パワーアップ研修を実施するなど、職員の接遇能力の向上を図っています。 特に、接遇パワーアップ研修では、平成18年度から窓口や電話応対の覆面調査を実施し、接遇力の診断を行っています。この診断結果をもとに、よかった点、改善すべき点をまとめ、一般職員に対しては窓口、電話応対の基本の確認とさらなるレベルアップの研修を行い、管理監督者に対しては、組織としての接遇向上ポイントの研修を実施しています。 さらに、覆面調査の診断結果や研修結果を、庁内全職場へ通知し、実践に活かせるようにしています。 今後も、これらの取り組みを通じて職員の接遇能力を向上させ、好感度一番の区役所の実現に努めてまいります。 次に、区民目線での区役所案内についてのお尋ねです。 コールセンターでは、電話による区政に関するお問い合わせに対して、FAQ(よくある質問と回答)のデータを初め、ホームページや広報紙などの情報をもとに事業の内容など、多岐にわたる御案内をしています。 このFAQやホームページのデータを常に最新の内容に更新することは、庁内における情報共有化のみならず、コールセンターでの案内にとって必要不可欠な条件となっています。そのため、事業の新設や変更があった場合は、その都度ホームページとあわせてFAQを更新するとともに、毎年4月、事業の改廃に伴う更新漏れがないかなどの総点検を行っています。 今後とも、ホームページ及びFAQデータの的確な更新を徹底してまいります。 次に、コールセンターの周知についてのお尋ねです。 コールセンターの認知度は、区政モニターアンケート調査では16.5%と、20年度より3.2ポイント上がったものの低い状況です。引き続き広報しんじゅくやぬくもりだよりなどで周知するとともに、イベントや講演会などさまざまな機会をとらえ、一層の周知に努めてまいります。 次に、区政情報センターの案内機能の拡充についてですが、御指摘のとおり、区民の方からのお問い合わせなどに対しては、FAQの利用や各課への問い合わせを行いながら御案内をしているところです。 また、区政情報センターでは、現場の相談員の経験と知恵を活かして、劇場や映画館など、民間の情報を幅広くまとめたお問い合わせガイドを独自に作成し、多様な問い合わせにも対応できるようにしています。 今後とも、お問い合わせガイドの充実や、相談員の研修の機会を確保することなどで、区政情報センターの案内機能の充実を図り、より区民目線に立った区役所案内に努めてまいります。 次に、土日開庁についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、区では、開庁時間内に来庁できない方を対象に、住民票や戸籍謄・抄本等の郵便請求を受け付けているほか、毎週火曜日に区役所並びに出張所で、夜7時までの開庁をしています。また、年度末と年度始めの繁忙期には、土曜日に区役所の窓口を開設しています。 さらに、昨年6月から自動交付機を導入したほか、現在、40種類の手続についてインターネットを利用した電子申請サービスを導入し、利便性の向上を図っています。 土日開庁の実施につきましては、これらのサービスの効果を検証するとともに、土日に開庁した場合のコスト増や人員体制などを踏まえて、検討する必要があると考えております。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第4は、待機児童の解消に果たす認証保育所の役割についてであります。 本年4月の認可保育園の待機児童は83人で、昨年同月と比較して13人増加しました。申し込み人数は、昨年が1,025人、ことしが1,101人と、76人も増加していますから、待機児童の伸びがこの程度にとどまったのは、分園や保育ルームの設置、定員の弾力化など、計画事業以外の緊急的な施策を積み重ねた成果が出ていると考えています。 また、昨年度に認証保育所を4カ所開設した効果もあったのではないでしょうか。区では、平成14年度から、認証保育所の設置を推進してきましたが、その結果、平成21年度末には12カ所となっています。この間、平成20年度には公募してもなかなか応募がない状況もありましたが、東京都が認証保育所の設置基準を緩和したことによって公募がふえてきたのではないでしょうか。しかし、この基準の緩和が保育環境の悪化を招くようなことでは困りますが、そのようなことはないのでしょうか。 そこで伺います。 1点目は、東京都の認証保育所設置基準の変更点や緩和された要件などは、どのような内容ですか。また、そのことによる影響、または効果についてもお聞かせください。 2点目は、平成22年度は5カ所開設予定とのことですが、予定どおりに開設されると、区内認証保育所は17カ所となります。今後どの程度まで開設する計画でしょうか。また、認可保育園との役割分担についての御見解もあわせて伺います。 3点目は、東京都制度の保育室についてです。 区内には現在4カ所の保育室があり、そのうちつくし保育園については国立国際医療研究センター内の新たな認可保育園に移行することになっていますが、ほかの3カ所については認証保育所への移行などの準備は現在どのような状況でしょうか、伺います。 4点目は、認証保育所の保育料についてです。 認証保育所によっては、ユニークな幼児教育や特別なサービスを提供している場合もありますが、全般的に保育料は認可保育園と比べて高いという話をよく聞きます。区では、負担軽減の補助を行っていますが、一律に同額です。例えば所得に応じた補助額にするなどの検討をすべきと考えます。御所見を伺います。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 初めに、待機児童の解消に果たす認証保育所の役割についてのお尋ねです。 東京都独自の制度である認証保育所は、大都市特有の多様な保育ニーズにこたえる制度として、平成13年度に東京都において要綱制定され、新宿区では平成14年度より事業者を公募して開設してまいりました。 初めに、東京都認証保育所設置基準の変更点や、緩和された要件についてです。 新宿区では、東京都の制度改正に先駆け、平成20年度、認証保育所A型を開設するまでの6カ月間を限度として施設賃借経費を区独自に補助するとともに、認証保育所A型を駅前以外に設置することを認め、事業者が参入しやすい環境整備をしてまいりました。東京都は、平成21年3月、認証保育所制度のさらなる設置促進と質の確保を目指し、東京都認証保育所運営費等補助要綱を改正しました。認証保育所A型の開設準備経費の補助対象範囲が拡大され、従前は駅前に開設するもののみが対象となっていましたが、保育サービス基盤の拡充に資するため、区が必要と認めるものについても対象となりました。 また、平成21年4月には、東京都認証保育所事業実施要綱の一部を改正しました。認証保育所は、定員の範囲内で保育することを原則とし、平成20年度までは年度当初に定員を超えて保育することはできませんでした。平成21年度からは、待機児童の大幅な増加が見込まれることから、緊急対応措置として施設の設備、面積及び職員配置等の基準を満たす場合には、年度当初からの定員の弾力的運用が認められました。 さらに、平成21年9月には、待機児童解消区市町村支援事業補助要綱を制定し、開設に要する改修経費の事業者負担割合が2分の1から8分の1へ軽減されました。 次に、設置基準が変更、緩和されたことによる影響または効果についてのお尋ねです。 まず、平成21年度認証保育所開設事業者の公募では、開設場所の補助要件が緩和され、対象物件の範囲が広がったことで7事業者の応募がありました。 また、開設時の事業者負担が8分の1へ軽減されたことも事業者の参入意欲を高め、結果として4事業者による開設ができました。 区としても、東京都の取り組みは事業者選択の幅を広げる効果があったものと認識しています。 次に、今後の認証保育所の開設計画についてのお尋ねです。 平成22年度は、保育室2カ所の認証保育所への移行を含めたA型7カ所の設置を予定しています。平成23年度は、保育室1カ所の認証保育所A型への移行を計画しており、既存保育所12カ所と合わせて計20カ所となる予定です。 その後の認証保育所の開設については、待機児童の動向、保育ニーズ、認可保育園とのバランス等を考慮して検討していきます。 次に、認可保育園との役割分担についてです。 近年、認可保育園の入所基準を満たしていない短時間就労、変則勤務など、さまざまな就労形態による保育ニーズが増加傾向にあり、認証保育所はこのようなさまざまなニーズに対応する役割を果たしています。 認可保育園、認証保育所ともに、それぞれの保育の特徴を打ち出しながら、保護者が選択できる多様な保育サービスを提供してまいります。 次に、保育室の認証保育所移行などの状況についてのお尋ねです。 御指摘のとおり、つくし保育園については、平成24年4月に国立国際医療研究センター内に新たに開設する私立認可保育園に移行する予定です。 また、2カ所の保育室は、平成22年6月までに特定非営利活動法人設立の認証を受け、法人格を持つ事業者として今年度内の認証保育所への移行を目指した準備を進めています。残る1カ所についても、平成23年度中に認証保育所への移行を計画しています。 区としては、東京都が保育室制度について見直しを進めている状況を踏まえ、保育室が円滑に認証保育所に移行できるよう、積極的に支援してまいります。 次に、認証保育所の保育料についてのお尋ねです。 区では、平成19年度から、認証保育所を含む認可外保育施設における保育料の一部を助成しています。これは、保護者の保育料負担を軽減するとともに、認可保育園を利用した場合の保育料との格差を縮減し、施設の利用促進を図ることを目的としています。 利用者への一律の補助を、所得に応じた補助額にすることについては、認証保育所、保育室、家庭福祉員を利用している保護者の所得を、区ですべて把握して審査する必要が生じるなどの課題があります。 したがって、今後、こうした課題への対応も含め検討してまいります。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第5は、子ども園化の推進についてであります。 区と教育委員会では、区立保育所及び幼稚園を子ども園に一元化し、就学前の子どもの保育・教育環境の充実を図るために合同検討組織を設置されました。就学前児童を取り巻く状況は、大きく変わってきており、子どもたちが育つ環境を充実させるためのこのような取り組みは非常に重要な政策課題となっており、早急に進めるべき課題であると考えています。 そうした観点で伺います。 1点目は、かつては年間に6,600人もいた出生の数が、今は3分の1以下になっています。しかし、ここ5年くらいでは、わずかではあるが出生数の伸びも見られます。この伸びは、区のさまざまな子育て支援施策や事業、例えば子ども医療費助成や中学生までの児童手当、保育所の待機児童解消策などの総合的な施策の推進が功を奏した結果であると思います。 区長は、子どもの施策として多くの取り組みを積極的に展開してきていますが、しかし、まだまだ課題は続いています。幼稚園では園児が減り続け、廃園、休園の幼稚園まで出ていますし、その反面、保育園では乳幼児人口が減っても入園希望は減ることはなく、毎年待機児童解消策のための取り組みに御尽力をいただいている状況です。 このような状況を踏まえてのさらなる取り組みとして、子ども園化の推進があるのだととらえていますが、先ほどのような幼稚園と保育園の現状を眺めた場合、幼稚園舎を最大限に活用し、幼稚園舎と保育園舎で待機児も含め、地域での需要に応じて必要な子どもたちを受け入れられるようにする道筋で、就学前の子どもの保育と教育を一体的に行う子ども園化を進めるべきであると考えますが、区長と教育委員会の認識と御所見を伺います。 2点目は、子ども園化を進めるに当たっての今後の区及び教育委員会の担当組織のあり方についての御所見を伺います。 現在の次世代育成支援計画では、子ども園化の方針として、「今後は地域バランスを考慮した子ども園の展開に加え、これまで区で進めてきた幼保連携型の子ども園だけでなく、保育所型、区独自型など、多様なスタイルの子ども園の導入も検討していきます」との考え方を示しています。 この方針のもとで、合同検討組織で多様な子ども園についての具体的な検討が進められるものと思いますが、素直に考えると、保育園と幼稚園とでは、保育園のほうが施設数も多く、また園児の数も圧倒的に保育園のほうが多い状況です。こうした中、多様な子ども園化を進めていけば、当然に保育園舎を使った子ども園のほうが多くなるでしょう。 これまでは、幼保連携型の子ども園を整備してきたため、教育委員会が子ども園を担当する組織を持っていたところですが、今後、幼保連携型にこだわらずに子ども園化を進めるというのであれば、区長部局に子ども園を推進するための担当組織を置くのが本来ではないかと考えますが、区長と教育委員会は、担当組織のあり方についてはどのようにお考えなのか、御所見を伺います。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 初めに、子ども園化の進め方についてのお尋ねです。 乳幼児期は、人間形成の基礎が培われる重要な時期であり、就学前の保育・教育は、その後の子どもの生きる力の基礎となります。そのため、保育・教育を一体のものとしてとらえ、総合的な環境整備を図る必要があると考え、新宿区では幼保連携・一元化の理念を定め、平成17年には中町保育園、愛日幼稚園の幼保連携、平成19年には区立保育園と幼稚園の機能を統合した四谷子ども園を開設し、この4月には、当初の幼保連携園あいじつ子ども園を2つ目の子ども園として開設しました。 今後も、こうした取り組みを進め、区内の保育園と幼稚園は、将来的には子ども園に一元化していく中で、御指摘のように幼稚園舎を有効に活用することにより、待機児童の解消を図っていきたいと考えております。 したがって、これからの子ども園化は、教育委員会との合同の検討組織の中で地域バランスや保育園の待機児童の状況、区立幼稚園の再配置の推進の取り組み状況などを踏まえながら、十分に検討し、計画的に進めてまいります。 次に、子ども園を推進する組織のあり方についてのお尋ねです。 子どもの保育と教育を一体的にとらえる視点を持ちながら、保育園と幼稚園の子ども園化をこれまで以上に進めていくには、区長部局と教育委員会事務局のさらなる連携が必要だと考えております。また、子ども園には、子どもと子育て家庭を支援するための機能も想定しています。 こうしたことから、子ども園化の推進を担当する組織は、地域、家庭と子ども園、そして区長部局と教育委員会事務局をつなぐ窓口ともなります。そのような組織のあり方につきましても、教育委員会との合同の検討組織で検討してまいります。 ◎教育長(石崎洋子) 教育委員会への御質問にお答えします。 地域需要に応じた受け入れが可能な子ども園化の推進についてのお尋ねです。 本区における子ども園は、保護者の就労状況等にとらわれず、ゼロ歳から就学前の子どもの成長、発達に応じ、一貫した保育・教育を行うことを目的に取り組んでまいりました。 しかしながら、近年、就学前児童を対象とした施設間の受け入れに偏りが生じている中、幼稚園舎内に保育ルームを設置するなどの対策を講じていることからも、待機児童の解消への取り組みは、子ども園においても重要な課題の一つであるととらえています。 したがって、今後の子ども園化の推進に当たっては、定員充足率の低い幼稚園舎などを有効に活用し、地域の保育需要にこたえていくことが必要です。 そこで、子ども家庭部と合同で、区立の保育園と幼稚園を子ども園に一元化し、就学前の子どもの保育・教育環境の充実を図ることを目的に、子ども園化推進検討委員会を設置して、現在課題の整理や対象地域、対象園等の具体的な内容を検討しているところです。 次に、子ども園の担当組織についてのお尋ねです。 子ども園の担当組織に関しても、子ども園化推進検討委員会における検討事項の一つとしています。御指摘のとおり、これまでの子ども園は、幼保連携型の運営であったため、教育委員会の所管としてきた経緯がありますが、今後、保育所型などの多様な形態の子ども園の整備を検討してまいりますので、所管についてもあわせて検討してまいります。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第6は、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成について伺います。 我が会派は、本年2月10日に子宮頸がん予防ワクチンの公費助成を求める要望書を区長に提出し、本会議においても再三にわたり強く要望してまいりました。国においては、5月31日、子宮頸がんの確実な予防を図るため、子宮頸がん予防措置の推進に関する法律案を参議院に提出いたしました。 法案の骨子として、ワクチン接種については、効果の高い特定年齢の一斉接種は全部補助、ワクチンの安定供給の確保、新型ワクチンの開発に関する研究、居住地域を問わない接種機会の均てん化などであります。 公費助成の動きは、東京都では既に予防ワクチンの公費を行う区市町村に対し支援をしており、全国的にも多くの自治体に広がりつつあります。さらに、この法案提出により、進展が見られることも予想されます。 中山区長は、本年度の所信表明において、女性の健康支援を挙げられました。広報1面に女性の健康支援を掲載し、女性の健康支援専門部会や女性専門相談など、新たな事業を展開されたことは大いに評価するものであります。 しかし、私どものもとへは、予防ワクチン助成に対する区民からの要望は日ごとに高まっております。早く接種してあげたいが経済的に困難、でも、子宮頸がんから命は守りたいとの熱い思いにこたえるべく、子宮頸がん予防に対する区長の英断を求めます。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) 子宮頸がん予防ワクチンの公費助成についてのお尋ねです。 子宮頸がん予防ワクチンの接種によって、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスの6割から7割の予防に効果があると認識をしています。 国は、厚生科学審議会予防接種部会において、予防接種法の定期接種の対象となっていない疾病の予防接種の法定化や情報提供及びワクチン接種費用負担のあり方などを検討することとしています。都においても、今年度から区に対する補助制度の対象に予防ワクチンの接種促進事業を加えたところです。 これらの動向を見定めつつ、区の財政状況を見きわめた上で各種予防接種の優先度なども含め検討してまいります。 また、子宮頸がんは、検診により早期発見が可能であるため、受診率のさらなる向上に努め、女性の健康を支援してまいります。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第7は、高齢者福祉サービスの充実についてであります。 総務省がことし発表した推計人口によれば、総人口は1億2,751万5,000人で、前年比で過去最大の減少数となっています。また、15歳未満の人口も過去最少となる一方、女性の人口の4分の1、男性の人口のほぼ5分の1を65歳以上の高齢者が占めるというまさに少子高齢化が急速に進展していることを示しています。 また、高齢者の中で、単身及び夫婦のみ世帯は、新宿区の全世帯の中でも2割を占めるといった高齢者の孤立化という一つの特徴が顕在化しています。 このように、高齢化進展の中、単身高齢者の増加という傾向性も踏まえた新しい福祉という視点の高齢者対策が必要であり、高齢者福祉サービスの拡充は喫緊の課題であります。 この観点から、4点にわたり伺います。 1点目は、24時間365日安心の介護施策の充実であります。 高齢者が安心して介護サービスを利用するために、何といっても24時間365日、困ったときにいつでも利用できる体制整備が急務であります。必要なときに介護職や看護師が一定時間内に駆けつけてサービスを提供する24時間随時訪問サービスを、積極的に支援する自治体の取り組みが注目されています。 そこで、新宿区も第4期介護保険事業計画を見直す平成23年度に、重点政策として取り上げ、第5期介護保険事業計画に反映すべきと考えますが、これらのサービスへの評価とあわせて導入の決意を伺います。 2点目は、在宅介護の促進策と経済的支援についてであります。 特別養護老人ホームの入所待機者は、1月末現在で1,265人であるとのことですが、待機順の上位にいる方の中には、胃ろうやストマ、カテーテルなどの医療処置が必要で、施設受け入れが困難な状況の方もいると聞きます。やっと順番が回ってきたら、「あなたは医療処置が必要なので入所は無理です」と断られるときの本人はもとより御家族の落胆ぶりはいかばかりでしょうか。また、入所を楽しみにしながらも、在宅介護を強いられ、ついに入所かなわずお亡くなりになる方も多いと聞きます。 そこで、まず、待機順の上位で介護4と5の方への事前調査を半年に1度行い、さらなるきめ細かな在宅介護への適切なアドバイスを提供してはどうでしょうか。 また、要介護3から5の認定を受けている方で、在宅生活を継続したいとの希望がありながら、認知症や日常生活能力の低下のため、在宅介護が困難となっている方々に対し、特別養護老人ホームを定期的、継続的に相互利用することで、少しでも長く在宅生活を続けられるよう支援する特別養護老人ホームの在宅入所相互利用制度の導入を、第5期計画の中に追加検討してはどうかと考えます。 介護支援は、きめ細かく、利用者本位の施策であることが重要です。施設と在宅の両方で支援することが大事で、この制度の導入によって介護認定者の日常生活能力の向上や、在宅時の家族介護負担軽減への効果が期待できます。 ついで、在宅での介護を余儀なくされている方への経済的支援も必要であります。現在、新宿区は、特別養護老人ホーム等の施設入所者で世帯全員が住民税非課税の方への居住費、食費の負担額軽減を行う助成制度があり、喜ばれております。施設介護と在宅介護の負担バランスを考えても、在宅での介護を支援する施策を行うべきであります。 特に、在宅介護の方で要介護度が高く、寝たきりの方や認知症などの方への経済的支援を開始すべきであります。いかがお考えか伺います。 3点目は、地域で支え合う福祉についてです。 新宿区は、現在、NPOとの協働事業として「ほっと安心カフェ」を行っています。この事業は、地域の集いの場所の提供とともに、福祉の専門職が参加して、行政サービスへの窓口へつなげる役割を果たしており、評価するものであります。 また、このほか、区の事業として「ふれあい・いきいきサロン」などがありますが、目的、活動内容を精査して事業の統合・拡大を図り、スケールメリットというか幅広く多くの方がサービスの利用ができるようにしてはどうか。また、「ほっと安心カフェ」の協働事業で築き上げたノウハウを活かして、さらなる拡大を図るべきと考えますが、御所見を伺います。 4点目は、高齢者が外に出て活動することを支援するポイント制度についてであります。 現在、介護を支援する方へのポイント制が導入されていますが、区が指定する清掃活動や安全パトロール等の地域での社会的活動への参加者をも加えた高齢者の外部活力を促進する意味でのポイント制度で、そのポイントを買い物や介護サービスなどに利用できるものを提案します。御所見を伺います。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) まず初めに、24時間365日安心の介護施策の充実についてのお尋ねです。 介護が必要になっても住みなれた地域で暮らし続けるためには、ニーズに応じた住まいの確保を初め、医療、介護のみならず、福祉サービスを含めたさまざまな生活支援サービスが適切に提供できる体制の整備が必要です。そのためには、御指摘のような24時間365日対応可能な訪問介護サービスは必要不可欠と認識しています。 現在、国においては、平成24年4月の制度改正に向けて検討が開始され、去る5月31日に開催された社会保障審議会介護保険部会では、地域包括ケアの実現として、24時間対応の在宅サービスの強化が必須とされています。 区では、このような制度改正の動向も踏まえながら、第5期介護保険事業計画の策定の際は、24時間随時訪問サービスについて、在宅サービスの強化の一つとして検討してまいります。 次に、在宅介護の促進策と経済的支援についてのお尋ねです。 初めに、特別養護老人ホームの待機順上位者への事前調査の実施についてです。 御指摘のとおり、特別養護老人ホーム待機者の中には、胃ろう等、医療的ケアの必要な方々がいます。区は、医療介護支援として特別養護老人ホームに助成を行っており、こうした方々も一定程度入所できる体制をつくっています。 また、介護保険の仕組みとして、在宅サービスを利用している要介護の方々のところには、月1度はケアマネジャーが訪問しています。その際に、本人や家族の状況を把握しながら、一人ひとりきめ細かに必要なサービスの見直しやアドバイス等を行っています。 今後も、高齢者総合相談センターを中心に、医療、介護、福祉の関係機関の連携を一層深め、入所待機者の在宅介護を支える体制を推進していきます。 次に、特別養護老人ホームの在宅・入所相互利用制度の導入についてです。 区内の特別養護老人ホームの稼働率を見ると、平成21年10月、11月の時点で、5カ所の平均が96.8%となっています。在宅入所相互利用制度は、家族介護の負担軽減の面で効果が見込まれる興味深い御提案ですが、多くの待機者がいる現状では、まず待機している方がスムーズに入所できることが大切であると考えています。 そこで、入所待機者の在宅介護を支えるために、ショートステイや介護老人保健施設等の短期、中期の入所サービスの利用をさらに促進し、また必要に応じて高齢者総合相談センターがバックアップしながら、さまざまなニーズに応じて必要なサービスが提供される体制をつくってまいります。 次に、在宅介護の方への経済的支援についてです。 区では、高齢者の在宅介護生活を支援するために、お弁当を届ける配食サービスを初め、理美容サービス、寝具乾燥消毒サービス等を行っています。また、重度の高齢者を介護する家族の方には、おむつ費用の助成をしています。これらのサービスは、複数御利用いただくことも可能ですし、所得状況により自己負担免除の制度もあります。 日常生活に係る現物給付としてさまざまなサービスを利用することで、実質的な経済的支援につながるものと考えています。 次に、地域で支え合う福祉についてのお尋ねです。 「ほっと安心カフェ」は、NPOとの協働事業であり、2年目を迎えます。高齢者の方々がほっとできるふれあいの場であり、NPOの専門職や高齢者総合相談センターの職員に、心配事等を相談できる安心の場でもあります。NPOのほか、NPOが養成した区民ボランティア等と協働しながら実施し、多くの区民、地域住民の方々に御参加いただいております。また、地域のつながりも深まっています。 御指摘のとおり、この事業を通じて蓄積したノウハウを活用することは重要であると考えます。今後、来年度以降の具体的な事業の方向性を検討する中で、「ふれあい・いきいきサロン」など、類似事業との統合、拡充も視野に入れながら、高齢者を初めとした幅広い世代がともに支え合う地域づくりを進めてまいります。 次に、高齢者が外に出て活動することを支援するポイント制度の導入についてのお尋ねです。 高齢者の外出活動を支援していくことはとても重要なことであり、社会活動について御提案のポイント制度を活用し、外出を促すということも一つの方法だと考えます。 現在、区では、介護支援ボランティア・ポイント事業を実施しています。65歳以上の区民が区内の介護保険施設やふれあい訪問、地域見守り協力員活動等のボランティア活動を行い、活動時間に応じてポイントをため、換金または寄附できるというものです。 この事業は、高齢者の相互の支え合いという目的で、昨年7月より開始したばかりの事業であり、まずは、この事業の周知及び定着を図ることに力を入れていきたいと考えております。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第8は、在宅療養体制の整備についてであります。 平成21年度から23年度までの高齢者保健福祉計画の重点取り組みの3本柱の一つとして、具体的に18事業として展開、推進されています。昨年度からたびたび行われている区民の在宅療養に対する理解を深めるシンポジウムも大変好評です。 1点目の質問は、在宅療養の体制を支えている訪問看護ステーションの動向についてです。 病院職員の訪問看護ステーションでの実習研修、訪問看護ステーション人材確保など、区としてこれまで実施してきた訪問看護ステーションの機能充実の施策の効果がどの程度上がってきているとお考えなのか、お聞かせください。 2点目の質問は、かかりつけ医機能の推進についてです。 かかりつけ医の先生方には、平成18年度から認知症の早期発見、相談等に対応できるよう研修を受けていただくなど、年々にかかりつけ医に対する期待、そして要望度が高まっています。また、要介護や重度要介護の方々が、なかなか施設を希望されても入所できない現状がある中で、区の介護サービスと密接に連携をとりながら、高齢者の日々を支えていただいています。 しかし、先ほど述べた認知症対応、介護の予防的対応、急変時対応、生活支援的対応、ターミナルケア対応等々、1人のかかりつけ医に求められる能力、負担を考えたときに、今までのようにかかりつけ医を数の上で推進するだけでなく、こうしたかかりつけ医機能の分業化と協働化の仕組みを新宿区も応援しながら構築していくべきと考えますが、区のお考えをお聞かせください。 3点目の質問は、夜間往診事業助成についてです。 高齢者保健福祉計画の目標指標に、在宅療養支援診療所の数として、現状、平成19年度33所が、平成23年度には50所、かかりつけ医を持つ65歳から69歳の人の割合を現状65.3%を、平成23年度には75%と掲げています。私自身、往診診療を熱心にやっていただいている先生に伺ったところ、自分の患者さんは自分で診るという思いや責務は十分あるが、24時間365日すべて対応ということは、本当に難しいとの声を何人からもお聞きしました。 現在、区が運営助成している夜間往診事業を行っている医師会診療所往診支援センターを、2点目の質問のかかりつけ医の補完機能という形で区としてさらに応援すべきと考えますが、いかがでしょうか。 今後の高齢者人口の増加や急速な孤立化、そして介護施設整備の限界を考えたときに、高齢者にとっての地域生活が、どこまでが介護でどこまでが医療なのかといった線引きはありません。地域の医療介護体制の整備を、こうした視点から見直すべきと考えますが、区のお考えをあわせてお聞かせください。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) まず、在宅療養体制の整備についてのお尋ねです。 訪問看護ステーションの機能充実に関する施策の効果についてです。 平成21年度の病院職員の訪問看護ステーションでの実習研修の実績は、目標30人に対して申込者は31人、修了者は29人でした。研修生は区内6病院から派遣され、成果を持ち帰った研修生が講師となって、病院内の研修を行ったところもあると聞いております。 研修後のアンケートによると、病院看護師の在宅療養に対する理解が深まったことを確認しております。 また、訪問看護ステーション人材確保事業の実績は、研修修了者4人のうち2人が実習先の訪問看護ステーションに就職しています。 病院と訪問看護ステーションの連携の推進と人材確保、それぞれに効果があったと考えております。 次に、かかりつけ医機能の推進についてです。 かかりつけ医に対する期待が高まる中、かかりつけ医の負担は増大しており、かかりつけ医がよりよく機能するためには、病院と診療所間や診療所同士の連携、看護や介護に携わる職員間での連携が大切です。 こうした連携を進めるために、認知症やリハビリテーションに関するネットワーク会議を設けています。また、ケアマネジャーなどにも、医療をテーマにした研修を行い、スキルアップを図ってきました。平成21年度に設置した在宅療養相談窓口は、かかりつけ医からの相談も受け、病院との調整も行っているところです。 今年度は、在宅での緩和ケアについても協議し、かかりつけ医と病院医師や訪問看護師、ケアマネジャーとの役割分担と連携の仕組みを強化してまいります。 次に、新宿区医師会診療所の夜間往診事業等への応援についてのお尋ねです。 国は、在宅医療を確保するために、平成18年度の診療報酬改定で、24時間365日診療に対応する在宅療養支援診療所の仕組みをつくりました。新宿区においても、在宅療養者が増加することが予測される中、医師会はかかりつけ医の推進と在宅療養支援診療所をふやすことを目的として夜間往診事業を開始し、区はこの事業の立ち上げを支援するために、平成20年度から3年間、助成を行っています。 この間、区民への事業周知やかかりつけ医等との連携につながるしんじゅく医療あんしんカードの普及活動を応援してきました。区内の在宅療養支援診療所数も43カ所にふえております。今後は、このような状況を踏まえ、夜間往診事業の役割について医師会と協議を重ねてまいります。 次に、地域の医療と介護の体制整備についてのお尋ねです。 平成21年度には、区民健康センターの訪問看護ステーションに在宅療養相談窓口を設置し、また、今年度は高齢者総合相談センターの機能強化の一環として、すべてのセンターに医療連携担当者を配置しました。こうした取り組みにより、医療と介護を必要とする高齢者の在宅療養を地域で支える仕組みが実現されるものと考えております。 今後も、医療や介護の連携をさらに強化し、体制の整備に向けて努めてまいります。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第9は、うつ病対策についてであります。 近年、ストレス社会の影響で、うつ病などによる心の病で、自殺や児童虐待など、国民の生命や生活を脅かす深刻な事態がふえています。 厚生労働省が昨年12月に公表した患者調査によると、うつ病やそううつ病などの気分障がい者は、2008年には初めて100万人を突破し、またうつ病の有病者数を約250万人、うつ病を含む気分障がいの有病者数を1,000万人以上と推計しています。 さらに、うつ病との関係で最も懸念されるのは、自殺との関係で、警察庁によれば2008年の自殺者は3万2,249人を数え、その動機として一番多いのが健康問題で1万5,153人、このうち最も多くを占めるのがうつ病で、6,490人にも達しています。 1点目の質問は、今や国民病とも言われているうつ病について、区長はどのような認識をお持ちなのか、御所見を伺います。 2点目の質問は、うつ病対策の取り組みについて3点お伺いします。 1点目は、認知行動療法についてです。 公明党は、国において2008年4月、党内にうつ対策ワーキングチームを設置し、同年4月に薬物療法と認知行動療法などの精神療法との併用を普及させるなどを柱とする総合うつ対策をまとめ、その実現を政府へ申し入れてきました。 その結果、本年度の診療報酬改定で、有効なうつ病治療として注目を集める認知行動療法の評価が新設され、本年4月から保険適用となったほか、この夏からは同療法の実施者を養成する研修も始まるとのことです。 しかしながら、その効果が実証済みの行動療法を希望する人は多いが、現状では同療法ができる医師が少なく、どこで受診できるかなどの情報も少ないという課題があります。今後、新宿区においても、療法普及を目指し、情報をいち早くキャッチし、ホームページなどを活用して周知すべきと思いますが、御所見を伺います。 2点目は、日常的な相談体制についてです。 うつ病を初め、精神疾患で実際に診療を受けに来ている患者さんは患者全体の2割ほどで、病院に来られずに悩んでいる人にも手を伸ばして診察できる体制が必要であると言われています。 さらに大事なのは、患者を支えている家族への手助けで、精神疾患の患者を支えている家族には、人には言えない苦労を感じています。新宿区では、現在、4カ所の保健センターを窓口とし、34名の保健師の方がきめ細やかな相談業務に取り組まれており、私や同僚議員もよくうつ病などを初めとする心の悩みのことで地域の方より相談を受け、保健センターへつなぐということがあります。 しかしながら、多くの区民の方は、心の悩みについてどこへ、どのように相談すればよいのかわからないという実態があるように思います。 そこで、もっと身近で気軽に相談できるような広報や周知が重要であると考えます。 例えば今年度から拡充をした高齢者総合相談センターの「なんでもご相談くだサイ」のサインでイメージキャラクターをあしらったキャッチ的なものや、一目見て保健センターに相談すれば安心感があると印象づけられるようなものなど、より一層の工夫が必要と考えます。 また、新宿区では「新宿こころといのちのセーフティネット」と題して、自殺防止のための困りごと、悩みごと相談窓口一覧の冊子を作成しております。この冊子は、とても見やすく、わかりやすく整理され、必要な情報が多く掲載されていますが、本庁舎を初め、保健センターや出張所及び各関係部署に置かれているだけで、多くの区民の目に触れるようになっておりません。 そこで、「くらしのガイド」と同様に、全戸配布の必要性があると思いますが、御所見を伺います。 3点目は、働く人のメンタルヘルスについてです。 昨年4月から12月の間に、うつ病を含む「精神障害等」の理由で、労災保障を請求した件数は857件、一昨年同期間中の706件より2割以上も増加して、企業経営にとっても大きな課題となりつつあります。 新宿区も、NPO法人との協働事業として昨年4月1日から来年3月31日まで、働く人のメンタルヘルス事業の実施、計画をしています。この事業は、うつ病対策講演会、リワーク講座、個別相談メンタルヘルス出前講演会など、さまざまな内容となっておりますが、現状の取り組みに関する状況や参加者の反応はどのようになっているのか、またこの事業は協働事業として時限つきであるわけですが、今後ますます増加傾向にあり、深刻な社会問題であるうつ病について将来を見据えた対策が必要と考えますが、御所見をお聞かせください。答弁願います。 ◎区長(中山弘子) うつ病対策についてのお尋ねです。 まず、うつ病についての認識ですが、うつ病は、国民の15人に1人が一生のうちに1度はかかる一般的な病気であると言われており、うつ病にかかると仕事や日常生活に支障を来すことから、社会全体で取り組んでいくべき課題です。区においても、国や都と比べて自殺率が高い現状から、うつ病は区民の重要な健康課題の一つと認識しています。 次に、うつ病対策の区の取り組みについてのお尋ねです。 1点目の認知行動療法に関する区民への情報提供についてです。 現在、この療法を実施している医療機関が少なく、まだ診療内容等の情報が十分ではないため、医療機関の情報収集に努めているところです。現時点でのホームページ等への掲載は考えておりませんが、区民の方からの相談を受ける中で、個別に御案内をしてまいります。 2点目の日常的な相談先の周知についてのお尋ねです。 保健センターでは、こころの健康相談を実施しており、この相談は、区報やホームページ、新宿こころといのちのセーフティネットの冊子などに掲載し、周知をしています。今後、保健センターが健康や病気に関して気軽に相談できる場所であることを区民の方にわかりやすく周知していきます。 現在、新宿こころといのちのセーフティネットの冊子は、本庁舎のほか保健センターや出張所、地域センター、図書館などの関係機関を初め、自殺対策に取り組むNPOや民生委員にも配布していますが、多くの区民の皆さんに手にとっていただくには、まだ十分とは言えません。今後、区民に幅広く周知するために、ホームページに掲載するなど、なお一層の普及に努めてまいります。 3点目の働く人のメンタルヘルス事業についてです。 平成21年度は、協働事業として当事者、家族を対象とした講演会や、職場復帰のためのリワーク講座や、個別相談を開催しました。また、企業向けには、講演会、出前講演会、個別労務相談を開催しました。いずれも参加者からの質問も多く、大変好評だったと聞いております。働く人のメンタルヘルスは、精神保健対策の一つとして重要と考えております。今年度は、産業保健分野や医療機関、NPO等との関係機関とのネットワークづくりをしてまいります。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第10は、マルチメディアデイジー版教科書の普及について、教育委員会に伺います。 以下、デイジー教科書と申し上げます。 デイジー教科書は、通常の教科書の内容をデジタル化したもので、パソコンで音声を聞きながら同時に絵や写真を見ることができます。さらに読んでいる箇所がハイライトされるので、どこを読んでいるのかわかるようになっていますし、文字の大きさや音声のスピードを変えられることから、発達障害などの読むことが困難な児童・生徒に対して、指導法や効果の調査研究がなされてきました。 平成20年9月からは、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」の成立を機に、財団法人日本リハビリテーション協会がデイジー教科書を必要とする児童・生徒に提供できるようになりました。それでも、法的規制のため、一部の通級学級や自宅学習などでしか活用できませんでした。 そのような条件にもかかわらず、教師や利用者の保護者からは、「読むことの抵抗感が減り、読書が好きになった」「学習意欲が増した」「内容の理解が進んだ」など、数多くの好評の声が聞かれ、軽度知的、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー、ディスレクシアなど、さまざまな発達障害児に学習への自信を持たせ、意欲を向上させる効果も明らかになり、普及を求められています。 本年5月13日には、文部科学省がこれまで配布対象を児童・生徒のみに限定していた従来の方針を転換して、指導する教員への配布も可能にするとの事務連絡が出されました。 そこで、1点目の質問ですが、デイジー教科書が必要と思われる通級学級や特別支援学級では、積極的に活用すべきであります。特に今回の事務連絡により、デイジー教科書普及にはずみがつくと期待されています。また、障害の状況によって、在籍学年より下のデイジー教科書が必要になる場合についても、その配布が可能になりました。御所見を伺います。 2点目の質問は、学校や発達障害を持つ保護者の方への周知であります。 前段で申し上げたように、すぐれた効果が認められながら、いまだ認識されておりません。学校現場や発達障害児や保護者の方に広く周知を図るとともに、教育支援が必要と認められた児童には無償で給与すべきと考えます。現在、日本障害者リハビリテーション協会が提供しているデイジー教科書は、本来の教科書1冊分がCD-ROM数枚分に収録され、1枚当たり200円と送料負担のみです。 3点目の質問は、デイジー教科書を使用する際の支援体制についてです。 デイジー教科書を利用するためには、パソコンが必要であり、セットアップや使い方の支援が必要です。デイジー教科書が必要とされる皆さんの手元に届き、笑顔が見られるよう、支援体制も整えていただきたいと思います。御所見を伺います。 ある地域では、本人、保護者、担当教諭が要望したにもかかわらず、校長が許可をしなかった事例もあり、特別支援を要する児童・生徒の学習支援との観点から、学校任せではなく、教育委員会が責任を持って取り組んでいただきたいことをお願いして、この質問を終わります。答弁願います。 ◎教育長(石崎洋子) マルチメディアデイジー版教科書についてのお尋ねです。 この教科書は、文字の大きさを変えたり、縦書きのものを横書きに変換したり、行間をあけたり、読んでいるところがハイライトされたりするなど、通常の教科書をさまざまに変換したものです。読むことが苦手であったり、注意力が散漫であったりする児童・生徒への活用の有効性が注目されるなど、発達障害のある児童・生徒の学習を支援する上での効果も期待されています。 現在、国や都においては、さまざまな障害のある児童・生徒に対して、適切な教材の選択と効果的な活用のあり方について調査、研究しているところです。 今後、区においても、この調査、研究の動向を見据えて、発達障害等に配慮した教材を用いた指導の充実を図っていきたいと考えています。 次に、学校や保護者への周知等についてのお尋ねです。 現在、日本リハビリテーション協会やLD親の会などの関係団体のホームページでは、デイジー版教科書について紹介されておりますが、学校や保護者にはほとんど周知されておりません。 今後、さらに情報収集に当たるとともに、特別支援学級の設置校や特別支援教育の研修会等でデイジー版教科書等の効果的な活用事例について紹介していきたいと考えております。 最後に、支援体制についてのお尋ねです。 現在、特別支援学級の教室には、移動可能なパソコン、実物投影機、プロジェクターを配備しております。しかしながら、特別な支援を要する児童・生徒の障害の特性に応じて学習効果を上げるためには、それぞれのニーズに適した機器の選定とともに、その活用方法の検討が重要になってきます。 これらについて、区立小・中学校及び養護学校の教員や、都立特別支援学校の教員、障害者団体で構成する特別支援教育推進委員会の中で、今後検討してまいります。 ◆3番(野もとあきとし) 質問の第11は、新教育課程への取り組みについて教育委員会に伺います。 教育基本法が平成18年12月に約60年ぶりに改正され、また平成19年6月に学校教育法が一部改正されました。これにより、明確に示された教育の基本理念は、生きる力の育成であります。 生きる力とは、平成8年の中央教育審議会答申において、変化の激しい社会を担う子どもたちに必要な力は、基礎、基本を確実に身につけ、いかに社会が変化しようと、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、みずからを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などと提言されています。 確かに政治、経済、文化を初めとして、社会のさまざまな領域において知識、情報、技術は日進月歩であり、グローバル化が進んでいます。多くの知識を獲得しても、それが翌日には陳腐化してしまうのが現状であり、生涯にわたって学ぶ力を学校教育において身につけさせていくことが重要であることは言うまでもありません。 このような考えのもと、平成20年に文部科学省より学習指導要領が示され、平成23年度から小学校においては新しい学習指導要領による学校教育が始まります。新しい学習指導要領の理念に基づき、新宿区の子どもたちの生きる力をはぐくむための教育を着実に推し進めていただきたいと切望しているところです。 そこで教育委員会に2点伺います。 1点目は、平成20年第1回定例会代表質問で、同僚議員が学習指導要領の改訂の方向性に質問したことに対し、現行の学習指導要領における生きる力の理念を継承するとともに、それを支える確かな学力、豊かな心、すこやかな体の調和を重視していると答弁でしたが、来年度から小学校で新しい学習指導要領に基づく教育が完全実施されるに当たり、教育委員会としてどのような準備をしてこられたのでしょうか。 2点目は、新学習指導要領のもとで使用される教科書について伺います。 先日、新聞に来年度から小学校で使用される教科書に関する記事が出ました。紙面には、「ゆとり見直し 教科書検定」「脱ゆとり鮮明に」という見出しが踊っていました。新しい学習指導要領に基づく教科書が作成され、主要4教科のページ数は28%増加し、小学校5年生の算数で円周率3.14を明記されているということでした。 このように、教える内容がふえた教科書についてどのようにお考えなのか、また以前のような詰め込み教育にならないようにするために、教育委員会としてどのようなことに取り組むつもりなのか、御所見を伺います。答弁願います。 ◎教育長(石崎洋子) 新教育課程への取り組みについてのお尋ねです。 まず、新しい学習指導要領への円滑な移行のための対応についてです。 新しい学習指導要領では、子どもたちの生きる力をはぐくむという教育理念に基づき、基礎的、基本的な知識、技能の習得や観察・実験、レポートの作成、論述など、知識・技能の活用を図る学習活動の充実などを目指しています。 新しい学習指導要領に示された指導の内容や方法に円滑に対応していくために、平成20年度から2年間にわたり、校長及び教員を構成員とする新教育課程検討委員会を設置し、各教科の専門的な立場から改定の要点や授業に活かせる実践事例集を作成し、すべての教員に配布してまいりました。 また、昨年度、小学校3、4年生の全児童分の国語辞典を各教室に配備し、国語辞典を積極的に活用した授業が行えるようにしました。 さらに、小学校5、6年生の外国語活動の指導資料も配布して、英語ノートを活用した指導ができるよう支援しています。 そして、新しく理科の授業で行う実験や観察で必要となる器材等についても、平成21年度から予算を確保し、整備してきているところです。 今年度からは、さらに来年度の学習指導要領の完全実施に向けて、教員一人ひとりに新教育課程の趣旨の徹底を図るとともに、研究授業の指導、助言等を通して、学校支援に万全を期してまいります。 次に、新しい学習指導要領に基づいて作成された教科書と教育委員会としての取り組みについてのお尋ねです。 これからの教育は、新しい学習指導要領のねらいに即し、子どもたちに身につけさせるべき生きる力を知・徳・体の視点でバランスよく育成していくことが求められています。 そのためには、各教科、領域の学習過程において、知識、技能の習得だけではなく、思考力、判断力、表現力等の育成、学習に取り組む意欲の向上を目指していくことが重要です。 新しく編さんされた教科書は、いずれもこれらの改訂の趣旨が十分に活かされたものであり、知識、技能の習得に関する内容、思考力、判断力、表現力等を育成する内容、学習への意欲を喚起する内容がバランスよく盛り込まれており、その結果、内容量が増加しているものと考えております。 そこで、教育委員会では、これらの内容をバランスよく用いて、学習の効果が十分に発揮されるように、教育課程を編成するよう学校に指導、助言をしてきているところです。 次に、詰め込み教育にならないための教育委員会の取り組みについてのお尋ねです。 御指摘のとおり、教科書の内容を形式的に終わらせるだけの教育になってはいけないと考えます。教育委員会主催の研修では、昨年度までに作成した実践事例集を活用して、一人ひとりの教員の指導力を培ってきているところです。 また、小・中学校の教育研究会では、自主的に新しい内容に対応した指導法の工夫を図るための研究を進めています。 教育委員会といたしましては、新学習指導要領の理解啓発に努めるとともに、教員が正しい教科書を利用して、創意工夫を凝らした多様な授業実践を行えるよう、学校への指導、助言を徹底してまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆3番(野もとあきとし) 私の質問に対し大変丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。 今後、私どもの主張、提案を区政の運営に活かされることをお願いいたしますとともに、これから時代がどんなに変化しようとも、常に希望と安心を与えられる施策を展開されますよう強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(深沢としさだ) 議事進行の都合によりここで15分間休憩します。 △休憩 午後4時30分--------------------------------------- △再開 午後4時50分 ○議長(深沢としさだ) ただいまから会議を再開します。 質問を続行します。 32番雨宮武彦議員。     〔32番 雨宮武彦議員登壇、拍手〕 ◆32番(雨宮武彦) 日本共産党区議会議員団の雨宮武彦です。私は、2010年第2回定例会に当たり、日本共産党区議団を代表して、区長と教育委員会に質問いたします。 最初に、区長の政治姿勢について伺います。 6月2日、鳩山首相が辞任を表明しました。アメリカ海兵隊普天間基地は、国外、最低でも県外への移設を明言して政権交代を訴えたのに、公約を踏みにじって名護市辺野古への移設をアメリカと合意したことが、沖縄県民、国民から強い批判を浴び、社民党の政権離脱を招き、辞任に追い込まれました。日米合意の後の世論調査では、内閣支持率は20%を割り込み、公約違反を批判し、辞任を求める声は6割から7割に達しており、辞任は当然です。 辞任した前政権にかわり、昨日、管新内閣が発足しました。菅新首相は、記者会見で、普天間の問題では、日米合意を踏まえるという原則はしっかり守っていかなければならないと言い、公約違反を続け、日米合意を撤回するつもりがないことを言明しました。これでは、沖縄県民と国民の失望と怒りがおさまるはずがありません。 また、政治と金の問題では、小沢前幹事長の辞任が一定のけじめと述べ、真相を解明しないまま幕引きしようとしています。これまた看板と表紙は変わったが、政治の中身は鳩山前内閣と何ら変わらないと言わざるを得ません。 問題は、国民の立場に立ってアメリカや大企業にも物が言えるかどうかではないでしょうか。     〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 ここに堂々と物を言わないかぎり、暮らしも経済もよくならないし、平和の問題も打開の方向を見出せません。そのことを述べて、以下質問します。 区長は、今回の辞任や首相交代についてどのようにお考えか、お聞かせください。 鳩山内閣と民主党は、普天間だけでなく、後期高齢者医療制度廃止を初め、数々の公約違反を重ね、国民の支持を失いました。中山区長は、50の施策などを示し、4年前の選挙で当選されましたが、区長にとってこのマニフェストはどのようなものでしょうか。守らなくても破っても良心が痛まない、そんな軽いものではないと思いますがどうでしょうか、答弁を求めます。 ◎区長(中山弘子) 雨宮議員の御質問にお答えします。 初めに、今回の首相の辞任、交代についてのお尋ねです。 短期間で首相が交代することになりましたが、新たな体制のもと、財政と社会保障の基盤の立て直しや経済状況への的確な対応などにより、国民生活の安定を図るとともに、地域主権の実現に取り組んでほしいと考えています。 次に、私にとってマニフェストはどのようなものかとのお尋ねです。 マニフェストは、候補者が当選後に実行する政策を約束するものであり、大変重みのあるものです。そのため、マニフェストの内容どおりに実施できない場合は、説明責任を果たすべきであると考えています。 私のマニフェストでは、2つの都市像や3つの区政運営の基本姿勢に加え、新宿のまちをつくるための5つの視点、12の基本政策及び50の施策を掲げ、施策ごとに達成時期を示しています。マニフェストで示した施策は、基本的には第一次実行計画に盛り込み、計画的に実施していますが、社会情勢の変化や関係機関との調整等により事業内容や実施時期を変更する場合があります。その場合は、計画のローリングを行い、公表しているところです。 ◆32番(雨宮武彦) 次に、区民の安全と平和施策について質問します。 私は、NPT(核不拡散条約)再検討会議で、実りある成果が得られるように働きかけるため、4月30日から5月6日まで、国際共同行動・ニューヨーク行動に参加してきました。渡米に先立ち、中山区長にも、核兵器のない世界を求める国際署名にサインをしていただきましたが、これには全国の過半数を超える自治体市長などが署名されました。1万人を超す各国の平和、反核活動家やニューヨーク市民がデモンストレーションをした後、集まった690万1,037人分の署名をカバクチュランNPT会議議長とセルジオ・ドォアルテ国連上席代表に渡しました。 NPT再検討会議は、一時は合意ができないのではという厳しい局面がありましたが、最終日の5月28日、核軍縮、核不拡散、核廃絶への具体的な措置を含む64項目の行動計画を盛り込んだ最終文書を全会一致で採択し、閉会しました。NPT再検討会議は、2000年には核保有国による核廃絶への明確な約束を盛り込んだ最終文書を採択し、大きな前進を見せましたが、2005年には意見が対立して後退しました。 今回の最終文書の行動計画に、2000年の再検討会議で確認された「核兵器の完全廃絶を実現するという核兵器国の明確な約束を再確認する」と明記されたことは、核兵器のない世界に向けて大きな前進となりました。とりわけ、核兵器保有国に対して核兵器廃絶への一層の取り組み、具体的な進展を求めていることは、重要な前進になると受けとめています。さまざまな紆余曲折はあっても、大局的には世界は核兵器廃絶の方向で前進しており、私たちの行動もこの前進に手を添え、後押しできたのではないかと確信しています。 区長の署名に改めて感謝を申し上げつつ、ことしのNPT再検討会議の最終合意文書について、区長がどのように受けとめ評価しているのかお伺いします。 国連事務総長も演説したように、国内の草の根運動が核兵器廃絶、戦争のない平和な世界を実現する力となります。新宿区政もその一翼を担っていくことが大切です。区は、この間、区長が平和市長会議に参加し、平和マップを作成するなど、施策を前進させてきました。 さらに、新宿区平和条例を制定し、例えば平和マップの小学生版を作成して、子どもたちが戦跡に触れ、戦争の追体験ができるようにするなど、系統的、持続的に取り組みを発展させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 また、広島、長崎の被爆体験を区内の子どもたちに語り継ぐことも大事です。ニューヨークでも被爆者の語り部が、直接体験を話して大きな感動を呼びました。国連本部では、被爆者写真が展示され、衝撃を与えました。ことし3月の四谷区民ホールでの被爆者の体験を聞きましたが、被爆した家族の到着を、疎開先のバス停で待つ男の子の姿が今も私の心に焼きついています。被爆者は高齢に達し、直接お話を聞けるのは今しかありません。区内の被爆者団体、親和会の協力も得て、学校教育の中で被爆の体験を語り継いでいくことを積極的に位置づけるとともに、今のうちにCDやDVDに被爆者の話を収録し、図書館の平和ライブラリーを充実することにもぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。 そして、戦争の悲惨な体験では、空襲の被害や疎開のつらい経験等を語っていただくことも忘れてはなりません。敗戦の年の3月10日は、下町が焼き尽くされた東京大空襲がありましたが、新宿では4月13日や5月24日、25日の空襲で、たくさんの住民が亡くなりました。平和都市宣言20周年の記念誌で、生々しい絵とともに体験が述べられています。小学生、中学生がこの戦争体験を聞き、平和について考えることも今ならできます。 また、これも平和ライブラリーに加え、後世に伝えていくべきだと思いますがいかがでしょうか。 ところで、平和という点で看過できないのは、4月25日から26日にかけて新宿御苑でPAC3の機動展開訓練が行われたことです。私たちは、国会内で防衛省からヒアリングを受け、区長にも申し入れをしましたが、区民の平和と安全を守る立場から、改めて以下3点について質問いたします。 第1は、使用すれば区民に被害が及ぶおそれがあるPAC3の配備を中止し、配備済みのものは撤去するよう政府に要望すること。第2は、新宿御苑や市谷の防衛省敷地内初め、新宿区内でのPAC3の訓練は今後いかなる名目であろうと一切実施しないように防衛省に申し入れること。第3は、仮に今後区内で訓練等を実施する旨の連絡が防衛省からあった場合、事前に議会や区民に公表し、新宿区として抗議すること。以上3点について区長の答弁を求めます。 ◎区長(中山弘子) 初めに、ことしのNPT再検討会議の最終合意文書について、どのように受けとめ、評価しているかのお尋ねです。 NPT再検討会議で、核軍縮、核拡散防止、原子力平和利用の分野において具体的行動計画を含む最終文書が全会一致で採択されたことは、核兵器廃絶に向けて一定の成果があったと考えています。 広島や長崎の悲劇が二度と繰り返されないよう、今後とも核保有国と関係加盟各国政府は、核兵器廃絶に向けて努力を続けていく必要があります。 次に、新宿区平和条例を制定し、系統的、持続的に取り組みを発展させるべきとのお尋ねです。 区は、昭和61年、世界の恒久平和を希求して平和都市宣言を行い、以来、平和啓発事業を積極的に推進しています。既に宣言により、新宿区の平和に対する意思を表明していますので、さらに条例を制定する考えはありませんが、今後ともより多くの区民、特に次代を担う若い人たちに戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えるため、作成した平和マップを活用するなど、引き続き平和施策の充実に力を入れてまいります。 次に、新宿御苑で行われたPAC3の機動展開訓練についてのお尋ねです。 今回の訓練は、防衛省から新宿御苑に展開訓練の器材を配置する、防衛省設置法に基づく教育訓練であるとの説明を受けました。お尋ねのPAC3の配備の中止や撤去などについての要望、申し入れは考えていませんが、訓練の実施に当たっては区民の安全に十分配慮してほしい旨、強く申し入れました。 なお、区民への公表については、防衛省が新宿御苑周辺の混乱を招くおそれがあることから、一般公表を差し控えていること、また東京都も防衛省の意向に倣っていることから、区としても差し控えたもので、国において説明責任が果たされるべきものと考えております。 ◎教育長(石崎洋子) 教育委員会への御質問にお答えします。 被爆体験や新宿区の東京大空襲を語り継ぐ取り組み等についてのお尋ねです。 戦争を知らない世代である子どもたちに、戦争の悲惨さと平和のすばらしさを知らせる機会を与えることは大切です。とりわけ、広島、長崎の被爆体験を語り継ぐことは、日本が世界で唯一の被爆国であることから、大変意義があります。 現在、区内には、平和学習として地域の方を招き、戦争体験等の話を伺う機会を設け、それを踏まえ、修学旅行では広島の平和記念資料館を訪れ、展示とともに直接被爆体験の話を聞いてきた中学校もあります。この取り組みで、生徒からは「平和への思いを強く抱いた」との感想が多く寄せられたと聞いております。 また、この新宿区でもかつては空襲があったという事実を知ることで、子どもたちは戦争の悲惨さをより具体的にとらえることができるようになります。 学校では、社会科や道徳の時間、総合的な学習の時間などにおいて、中学校社会科副読本の中の「新宿区戦災消失区域図」や「太平洋戦争と新宿の年表」などを活用し、戦争体験者の話を聞くことなどとあわせて、新宿区の東京大空襲について学習しております。ことし3月に配布された「新宿区平和マップ」も活用してまいります。 今後も引き続きさまざまな教育活動の中で、子どもたちに平和の大切さを考えさせる教育を一層進めてまいりたいと考えています。 また、新宿区立図書館では、平和に対する意識を一層高めるために、毎年、終戦記念日を挟んだ約1カ月間、平和関連の図書館資料を展示するなどの平和啓発事業を実施しております。そのために、平和に関するCD、DVD、ビデオなどの資料を積極的に収集しております。 被爆者の体験に基づく資料としては、吉永小百合さんの朗読による「第二楽章~長崎から~」のCDや「祈るように語り続けたい/広島編/長崎編」のビデオを所蔵しております。 また、区内の戦争体験に基づく資料としては、平和都市宣言20周年記念に区が制作した「語り継ぐ平和への願い~新宿区の戦争体験~」のDVDとビデオを所蔵しているところです。 今後も、平和に関する資料を積極的に収集し、平和啓発事業を充実させてまいりたいと考えています。 ◆32番(雨宮武彦) 次に、子育て支援について質問いたします。 初めに、次世代育成支援計画についてです。 新宿区は、ことし第2期次世代育成支援計画を策定しました。子育てしやすいまちの実現を目標に取り組んできた結果、子育てしやすいと思う人の割合が5年間で大幅にふえました。中3までの医療費無料化、児童手当の年齢引き下げ等、この間の区の施策が区民に評価された結果だと思います。 引き続き、2014年度の目標である子育てしやすいと思う人の割合45%を目指して、総合的な子育て支援策をさらに推進していくことが必要です。区長はどのように目標を達成しようとお考えなのか、その決意も含めてお聞かせください。 さて、昨年の新宿区次世代育成支援調査では、「子どもを育てやすい社会に必要なこと」の問いに対し、「経済的援助」が1位となりました。しかし、計画では、「国・東京都との役割分担、子育て支援に関する基盤整備とのバランス等を考慮しつつ、財源の確保に努めながら充実を図る」という取り組みの方向性は書かれているものの、具体的には既存事業の拡充や新規事業の計画はなく、どのように充実を図るのかが疑問です。 実際、国が子ども手当や高校授業料無料化を実施しましたが、区としては、子育ての経済的支援をどう充実していくのでしょうか、お答えください。 第2の質問は、子ども手当と財源の活用についてです。 子ども手当の支給が今月から始まりました。喜びの声がある一方、疑問や異論も出されています。全国の市長からも、子ども手当の財源の一部を地方の裁量に任せてほしい、給食費の滞納分を子ども手当から天引きできるようにしてほしい、いずれは給食費を無償にして、子ども手当の一部をその財源に充てるべき等の意見が出されています。区長は、子ども手当をめぐる議論についてどのように思われますか。 日本共産党は、全国の待機児童10万人分の保育所建設は、1,400億円があればできると試算していますが、喫緊の課題である保育園の待機児解消のために、子ども手当の財源の一部を使うべきと考えます。待機児ゼロ作戦に取り組む新宿区長として、こうした要望を国に対して行うべきではないでしょうか。 第3の質問は、小・中学校の教材費や給食費を無料にすることについてです。 憲法は、26条で「義務教育は無償」としています。授業料だけでなく、教材費や修学旅行費、給食費など、教育活動に必要な費用は無償であるべきです。 北海道三笠市は、2006年度から小学校の給食費を少子化対策の一環として無料にしています。担当者に伺ったところ、「子育て世帯に平等に行き渡る施策と考え、始めました。子育て家庭からは好評で、ぜひ継続してほしいという声を聞いています」とのことでした。また、山口県和木町も、給食を始めた数十年前から、幼稚園と小・中学校の給食費を無料にしています。 義務教育の完全無償化は、本来国の責任であり、教材費、給食費の無料化を政府に求めるべきです。そして、国が実施に踏み出すまでの間、区として現在行っている給食費の一部助成を増額すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第4の質問は、認可外保育施設の中でもいわゆるベビーホテル利用者への保育料助成についてです。 昨年の第2回定例会の代表質問でもこの問題を取り上げましたが、区長は、「助成の基準をつくることは困難だが、今後実態把握には十分努める」と答弁されましたが、今もって実態把握の報告は聞いていません。早急に実態を把握するとともに、区民、保護者の要望にこたえていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 6月1日現在の待機児童数113人のうち、いわゆるベビーホテルの利用者は8人です。認証保育所や保育室、家庭福祉員と同様に認可保育園を補完する役割をベビーホテルも担っていることは明らかです。しかし、認証保育所、保育室、家庭福祉員の利用者には、保育料の助成制度がありますが、ベビーホテル利用者にはありません。区内の施設事業者に伺ったところ「認可、認証、保育室、どこにも入れず、ベビーホテルが最後のとりでと言ってくる人がふえている。保育料を安くしたいが、施設の経営も苦しい。保育料を聞いたから預けることをあきらめる人もいるので、施設への補助もいただきたいが、利用者だけでも保育料を補助してほしい」というお話でした。 浦安市は、県に届け出をした認可外保育施設のうち、市が定める基準を満たした施設を簡易保育所や認証保育所と定め、設置者への運営費補助と利用者への保育料補助を行っています。利用者への保育料補助は待機児童対策であり、保育に欠けるなどの認可保育園の入所条件と同様の条件が必要です。 私は、待機児童が解消するまでの緊急措置的施策として、紹介した自治体の例なども参考に、区で一定の基準を設け、認可保育園に入れずやむなくベビーホテルに預けている方に対し、保育料の助成を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎区長(中山弘子) まず、次世代育成支援計画における目標をどのように達成しようとしているかとのお尋ねです。 御指摘のように、この計画では、子育てしやすいと思う人の割合を、平成26年度には45%にまで引き上げたいと考えています。そのためには、区の喫緊の課題である保育園待機児童の解消を初め、就学前教育の充実、乳幼児親子や就学児の居場所づくり、相談しやすい環境の整備、子育てバリアフリーの推進など、すべての子どもと子育て家庭への支援の充実を図り、子育てや子どもの育ちを支える地域や社会環境の整備を推進してまいります。 また、今回の計画では、新たなビジョンとして、ワーク・ライフ・バランスが実現するまちを掲げ、性別や年齢にかかわらず、だれもが自分らしい生き方を選択でき、仕事と子育て、地域活動等とのバランスが図れる社会づくりを重要な課題としました。 こうしたワーク・ライフ・バランスの視点も持ちながら、妊娠期から青年期までのライフステージを見通した、総合的な次世代育成支援施策を推進することにより、目標を達成したいと考えています。 今まで以上に、新宿区が子育てしやすいまちになるよう、子育て中の方だけでなく、未来を築いていくだれもが安心して子どもを産み、育てられる社会を目指してまいります。 次に、子育ての経済的支援についてのお尋ねです。 子育て世帯への金銭給付など、社会全体で子育ての費用を負担する仕組みづくりは、第一義的には国の責務であると考えています。しかし、各種の調査を通じて、子育てに伴う経済的負担感の緩和は区としても取り組まなければならない課題であると認識し、国手当を上回る中学生までの児童手当の支給や子ども医療費助成、私立幼稚園や認証保育所等の保育料の負担軽減などを、これまでに実施してきました。 こうした経済的支援のほかにも、保育園の待機児童解消や学校教育の充実など、さらに取り組むべき分野は数多くあります。 子育て支援の施策を総合的に着実に実施していくための子育ての基盤整備、環境整備こそが各自治体の責務であると考えています。 したがって、子育て世代の経済的負担感の緩和については、次世代育成支援計画でお示ししたとおり、子育ての基盤整備、環境整備とのバランス等を考慮し、財源の確保に努めながら充実を図ってまいります。そのための国や東京都への協議、要望は適宜行っていきます。 次に、子ども手当と財源の活用についてのお尋ねのうち、子ども手当をめぐる議論についてです。 近年、我が国における少子化の進展は、社会保障や経済産業に深刻な影響を与え、国の健全な存続にかかわる重大な問題となっています。 このような中、国は次代の社会を担う子どものすこやかな育ちを社会全体で支えていくという理念のもとに、子ども手当を創設しました。 しかし、この制度は、平成22年度限りの暫定措置として子ども手当と児童手当との併給方式をとり、児童手当の地方負担を継続して求めている点や、所管する厚生労働省から地方に対して一切の協議、説明がなかったことなどが問題であったと認識しています。 今後、国は、児童手当制度においても議論があった海外別居監護者への手当支給の問題や、子ども手当制度における国と地方の財源負担や所得制限の問題等について、制度の実施主体である地方自治体の意見を十分に取り入れたバランスのよい制度設計を行うべきと考えます。 次に、子ども手当の財源の一部を保育園の待機児童解消のために充てるよう、国に要望すべきとのお尋ねです。 国からは、来年度の子ども手当の仕組みづくりに当たっては、自治体の意見も取り入れながらつくっていくと聞いております。 そこで、経済的給付と保育事業の充実等の環境整備の双方に配慮した子育て支援策を構築し、その際には、自治体の自主的な財源活用が可能となるよう、国に対し意見具申するとともに、さまざまな機会をとらえて要望も行ってまいります。 次に、ベビーホテルの実態把握についてのお尋ねです。 ベビーホテルについては、指導監督権限を持つ東京都が、年1回以上立ち入り調査を実施しており、区も同行しています。調査結果についても、都ホームページで広く公開しています。 平成22年4月、保育課に運営指導係を新設し、ベビーホテルなどの認可外保育施設の実態把握についても迅速に対応できる体制を整えました。5月にベビーホテルについての投書があり、都へ連絡し、翌日に都と区で立ち入り調査を行い、投書内容の事実確認を行いました。 今後も、ベビーホテルを含む認可外保育施設の保育の実態や保育環境、施設状況の実態把握に努めてまいります。 また、認可外保育施設への指導監督などに関する事務については、特別区長会において、都から区への移管対象事務として検討しているところですが、私は、速やかに区へ移管されるべきと考えております。 次に、ベビーホテル利用者への保育料助成についてのお尋ねです。 平成22年6月1日現在の待機児童数113名のうち、いわゆるベビーホテルや院内保育所を含む認可外保育施設の利用者は8名となっています。待機児童が解消するまでの緊急措置的施策として、区で一定の基準を設け、認可保育園に入れずやむなくベビーホテルに預けている方に対し、保育料の助成を検討すべきとのことですが、そうした助成制度が児童福祉施設の基準等に合致しない施設への利用促進と誤解されることや、利用状況の定期的な把握が困難なことなど課題もあります。しかし、認可保育園に入れずやむなくベビーホテルに預けている方への保育料の一部助成をどのようにすべきかを含め、今後検討していきます。 ◎教育長(石崎洋子) 教育委員会への御質問にお答えします。 義務教育における教材費、給食費の無料化を国に求めるべきとのお尋ねです。 憲法第26条の「義務教育は、これを無償とする」という規定の趣旨は、保護者に対し、子女の義務教育の対価を徴収しないことを定めたものであり、教育基本法第5条及び学校教育法第6条において、義務教育については授業料を徴収しない旨規定していることからも、同条の無償とは、授業料を徴収しないことを意味するものと理解しています。 したがって、教材費や給食費の無料化を国に対して求めることは考えておりません。 次に、給食費の一部助成の増額についてのお尋ねです。 給食費への支援は、平成20年度の原油等の価格高騰に伴う、給食食材料費への影響を考慮し、保護者負担の軽減を図ることを目的に実施しているもので、今年度も金額を精査して継続しています。 区が実施している支援と給食費の無料化とは、目的を異にするものであることから、増額については考えておりません。 ◆32番(雨宮武彦) 次に、特別養護老人ホームの増設と介護保険施設に対する支援策について質問いたします。 第1の質問は、特別擁護老人ホームの増設についてです。 2011年度までを計画期間とする第4期介護保険事業計画では、矢来町に建設中の特別養護老人ホームの開所をもって、計画を達成することになります。しかしながら、特別養護老人ホームの待機者は1,000人を超える状況が続いており、入所を待っている区民と御家族にとって、区内特別養護老人ホームの増設は切実な願いです。第5期計画の作成に当たっては、需要に見合った計画にすることと同時に、第5期計画の策定待ちにならず、次の建設に向けて動き出すことが求められています。 区内で特別養護老人ホームの建設がなかなか進まない原因は、用地確保が困難だからで、区として事業者の用地確保に対して助成することや、区有地はもちろん、国有地、都有地を含め公有地を活用することなしに特別養護老人ホームの建設は進みません。区内に存在するあらゆる公有地を洗い出し、具体的に国や都に提供することを求めるべきではないでしょうか。 とりわけ国有地は、区内に多くの公務員宿舎があり、売却などが検討されています。国が売却する際、まず地元自治体の意向を聞きますが、それを待って検討するのではなく、弁天町の参議院宿舎跡地のように、区が目標と展望を持って今から国に対して働きかけ、特別養護老人ホームをつくるべきではないでしょうか、お答えください。 第2の質問は、特別養護老人ホームや老人保健施設など、介護保険施設に対する支援策についてです。 私どもに寄せられる相談の中で「医療処置が必要な人は受けられないと、特別養護老人ホームでも老人保健施設でも断られてしまった。こんなに困っているのになぜ入れないのか」という切実な相談がふえています。 施設に実情を聞くと、医療処置が必要な人を受け入れるには、看護師が24時間常駐している体制や、緊急時の医療機関の受け入れ体制が欠かせないのだけれども、それが整わないため、介護職の心理的、物理的負担が重過ぎて、受け入れられないと言うのです。 新宿区では、胃ろうなど医療処置を必要とする人を受け入れるための区内の特別養護老人ホームに対しては、1施設当たり介護職1人分と看護職1人から2人分の人件費を区独自に助成していますが、経管栄養でも胃ろうは受けるが鼻腔は困難とか、たんの吸引が常時必要な人、酸素療法が必要な人などは、なかなか受け入れてもらえないのが現状です。中には、やっと順番が回ってきたと思ったら、面接をしたら断られたという場合もあり、施設側の説明に納得がいかず、トラブルになるケースも少なくありません。 一方、老人保健施設では、常勤の医師や看護師の体制が特別養護老人ホームよりは厚い配置基準になっていますから、医療処置の必要な人も受け入れやすいはずなのですが、実態としては、夜は看護師が常駐していないので受け入れられないとか、24時間看護師が常駐している施設でも、救急車を呼んだときに、受け入れ先の病院が決まらず、3時間も停車していたなどという実態があるので、リスクの高い人の受け入れをちゅうちょするというのです。 さらに、老人保健施設では、他科受診といって、常駐の医師が内科であれば内科以外の受診は医療保険が使えるのですが、内科については医療保険が一切使えず、医療費はすべて施設の負担になるという仕組みになっています。そのため、例えば在宅酸素の対応をしている人が、病院なら酸素ボンベを1割負担の8,000円で使えるのが、施設に入所すると本人の負担はなく、8万円すべてが施設の負担、持ち出しになってしまいます。 また、パーキンソン病など難病の方は医療費が高く、在宅であれば難病医療の対象で本人負担はないのですが、この場合も、入所すればすべて施設の負担となるため、どこも受け入れてはくれません。高い薬を常時飲んでいる人なども敬遠されるのは、施設の経営が成り立たなくなるからです。 本来、こうした方々を受け入れるのは、療養型病床です。かつては新宿区内にもありましたが、今は1床もありません。自公政権下の方針で、2012年3月までに介護療養病床は廃止、医療養病床も多くの病院が経営難を抱える中、2012年4月からは看護・介護職員配置が強化され、これを満たせないと診療報酬が下げられるという事態に直面する中で、療養型のベッド数が激減しているのです。ことしの5月に、全国保険医団体連合会が国に対し、介護療養病床廃止の撤回などを求め、要望書を提出するなど、医療現場からも切実な声が上がっています。さらに、他科受診など制度上の問題が現場の矛盾を大きくしています。 国に対して、療養型病床抑制の方針転換を区として求めるとともに、医療と介護の制度改善を要求することが必要ではないでしょうか。 そのことをお聞きした上で、区独自の対策について以下、質問します。 第1は、医療処置に対応するための人件費助成を充実することです。 港区は、区立の特別養護老人ホームについては、指定管理者に対して基準より多くの看護職7人分と介護職6人を増配置するための人件費を含んだ指定管理料とし、これによって医療処置者の比率は約2割となっています。また、老人保健施設に対しても、看護職の人件費を1人700万円とし、2人分の2分の1を補助しています。 中央区は、区内の民間特別養護老人ホームに対して、胃ろう、在宅酸素、人工肛門、人工膀胱、インシュリン自己注射などの医療処置者を定員の15%以上受け入れるため、看護職員3人分の人件費を補助しています。 千代田区は、区立の特別養護老人ホームだけでなく、グループホーム、ケアハウスの指定管理者に対して助成することで、医療処置の対応や、より重度の人を受け入れる体制をつくっています。 新宿区も、胃ろうなど医療処置者をベッド数の1割以上受け入れるという条件で、特別養護老人ホームに対しては介護職1人と看護職1人から2人分の助成を行っていますが、夜勤の対応は難しいため、医療処置者の受け入れは相当制限をせざるを得ない実態です。老人保健施設に対しては、助成制度がありません。 新宿区も、夜勤の対応が可能な看護職の配置を可能にするため、助成額をふやし、特別養護老人ホームだけでなく老人保健施設も対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。 第2は、介護施設の空きベッド対策を支援することです。 特別養護老人ホームは、老人保健施設などとは違って、入所者が入院したら即退所というわけにはいかず、また退所から次の人の入所までに時間がかかることも多く、常に空きベッドを抱えています。 しかし、待機者から見るともったいない状況なのです。空きベッドが多いと、施設の経営上も負担となり、入院した人に退所を促さざるを得なくなります。区内施設の稼働率は老人保健施設では98%や99%に対し、特別養護老人ホームは90%から95%前後と、必死の努力にもかかわらず苦戦しています。 港区は、長期入院者に対する退院後のベッド確保のため、2006年度から5年計画で助成額は年々減額する仕組みですが、例えば80床の施設には、感染症対策とあわせて初年度1,460万円を助成し、ある区立特別養護老人ホームでは、これを活用してショートステイ専門の相談員を雇用し、対策を強化した結果、稼働率が92%から98%まで引き上げることができ、収入もふえたそうです。 新宿区でも、空きベッド対策の助成をすることで施設の運営を助け、区民の利用向上に資するようにすべきではないでしょうか、お答えください。 ◎区長(中山弘子) 特別養護老人ホームの増設と介護保険施設に対する支援策についてのお尋ねです。 初めに、特別養護老人ホーム増設のための公有地の活用についてです。 来年2月、矢来町に開設予定の特別養護老人ホームを含めると、区内の特別養護老人ホームは7カ所、480床となり、区外の施設に確保している503床と合わせると、区民の方が都内で利用できるベッド数は983床となります。 特別養護老人ホームは、在宅での生活が真に困難になった方のセーフティネットとして整備を進めています。しかしながら、待機者の中には、例えば要介護1の方が将来の安心のために申し込んでおくといった事例も多く含まれています。こうした方々については、訪問介護や通所介護、在宅医療などの在宅サービスが、日常生活の中で適切に提供されることがより重要と考えます。 したがって、特別養護老人ホームのための国有地を初めとした新たな公有地の活用については、長期的視点に立った的確な事業予測のもとに、その整備の可能性について検討していきたいと考えています。 次に、特別養護老人ホームや老人保健施設など、介護保険施設に対する支援策についてのお尋ねです。 まず、国に対して、療養型病床抑制の方針転換を区として求めること、及び医療と介護の制度改善を要求することについてです。 国は、従来から平成24年3月31日までに、療養病床を再編し、医療の必要度に応じた機能分担を推進するとしています。去る5月31日に開催された社会保障審議会介護保険部会では、医療病床のベッド数を削減させず、現在の療養病床に入院している患者の行き場のない状況を防ぐことが検討されています。しかし、介護療養型の廃止については言及されていません。 区では、高まる医療ニーズに対応した介護療養型の必要性から、24年3月の廃止については慎重な検討を国に要望していきます。 また、医療と介護の制度改善ですが、住みなれた地域で暮らし続けるためには、さまざまな医療ニーズに対応したサービスの整備が必要です。御指摘のように、施設における医療については、さまざまな課題があることは十分に認識しています。老人保健施設での必要な診療報酬の適用については、平成23年度の介護報酬と診療報酬の同時改正に向け、さまざまな機会をとらえ国に要望してまいります。 次に、医療処置に対応するための人件費助成についてのお尋ねです。 区内の特別養護老人ホームに対しては、平成18年度より医療処置を必要とする入所者受け入れのための体制整備に係る運営経費として、看護職及び介護職の人件費等を助成しています。その結果、現在、区内各特別養護老人ホームでは、施設によって条件の差はありますが、胃ろうなどの経管栄養を初め、さまざまな医療処置が必要な方の受け入れを行っています。 御指摘のありました夜間対応ですが、看護職員だけなく医師、介護職員等、施設全体の受け入れ体制の整備も必要となります。平成22年4月からは、介護職員も、たんの吸引や胃ろうによる経管栄養の行為が行えるようになりましたので、施設での取り組みを注意深く見守っていきたいと考えています。 次に、老人保健施設も対象にすべきとのことです。 老人保健施設では、医師や看護職員が特別養護老人ホームに比べ手厚く配置されているにもかかわらず、医療ニーズの高い方の入所が実現しないのは、診療報酬上の課題が大きいと認識しています。このため、老人保健施設を助成対象にする前に、診療報酬上の課題を解決することがまず必要であると考えております。 次に、特別養護老人ホームの空きベッド対策についてのお尋ねです。 区内の特別養護老人ホームの稼働率を見ると、平成21年10月、11月の時点で5カ所の平均が96.8%です。御指摘にある入院中のベッド確保や、退所から次の入所までに時間がかかるなど、施設の特性を考慮すると、この数字は低い水準ではないと考えております。 したがって、空きベッド対策として特別養護老人ホームに助成を行う考えはありませんが、一方で、特別養護老人ホームに多くの待機者がいる現状では、まず待機している方がスムーズに入所できることが大切です。 そこで、数多くの待機者がいることを踏まえ、次の入所までの時間短縮やショートステイとしての活用等、稼働率のさらなる向上に取り組んでまいります。 ◆32番(雨宮武彦) 次に、区民の命と健康を守る施策について質問いたします。 質問の第1は、国民健康保険についてです。 2008年以降の厳しい経済社会情勢を反映して、国保加入者がふえ、保険料滞納世帯も増加しています。非正規雇用の拡大、解雇の横行、中小企業の倒産、個人消費の減退等々、日本社会が抱える矛盾が新宿区の国保会計にも大きな影響を及ぼしていると思われます。 新宿区議会は、本年第1回定例会で、高過ぎる国保料や自治体の財政負担軽減のために、国庫負担の増額を求める意見書を採択し、内閣総理大臣ほか関係機関に提出しました。国が制度のひずみを是正していくことも急務の課題です。 こうした問題に加え、新宿は流動人口や外国籍の方が多く、担当課が御苦労されていることは承知していますが、区民の命と健康を守る努力を尽くすべきと考え、以下質問します。 その第1は、短期被保険者証発行の基準を見直すことです。 短期証発行基準は、各自治体がそれぞれに設定しており、23区でも基準は異なります。新宿区は、12カ月証は、保険証更新前の半年間に3カ月分の未納が1万円以上ある場合、6カ月証は、それに加えて前年度以前に滞納がある場合と基準を設定しています。昨年の更新時期には、12カ月証が3,284件、6カ月証が1万1,216件発行されています。新宿区では、資格証発行数が比較的少なく、その点は評価しますが、短期証が多いのは残念です。 渋谷区では、過去1年以上、30万円以上の滞納者で、高齢者や中学生以下の子がいない場合としており、発行数も400件弱とのことです。ペナルティー的に負担を負わせるのではなく、短期証発行により、相談のきっかけづくりにしたいと担当者は語っています。 短期証が1万4,000件もあれば、これをきっかけにじっくり相談に乗るというより、郵送か電話で一渡り督促するのがせいぜいではないでしょうか。払いたくても払えず、心苦しく感じ、病院に行くたびに肩身の狭い思いをするのでは、病気にいいはずがありません。短期証の発行基準を見直し、もっと緩和すべきではないでしょうか。区長の御所見を伺います。 その第2は、減免についてです。 解雇等を理由とする一般減免は、過去2年間増加しており、4月からスタートした非自発的離職者の保険料減額の届け出件数は、5月10日現在270件に上ります。保険料は、前年所得で算定されるため、失業して国保に移行した年は、高い保険料が大変な負担です。減免の失業理由は、非自発的離職者に限られています。本質は解雇なのに、自己都合にさせられて失業した方も減免を拡大適用していただきたいと考えます。 また、減免適用基準は、23区横並びで、生活保護基準の1.15倍です。山口県宇部市は、生保の1.5倍、神奈川県大和市は1.2倍です。新宿区も基準引き上げを図り、保険料を減額することで、生活保護を受けなくても自立した生活をできるように応援すべきと思いますが、区長の見解を伺います。 質問の第2は、子どものワクチン接種に対する助成を拡充することです。 子どものワクチン接種は、全国すべての子どもの生命と健康を等しく守る意味で、国が一元的に定期接種化や公費助成すべきことは言うまでもありません。日本共産党の小池晃議員は、4月13日、参議院厚生労働委員会で、子どもの細菌性髄膜炎の原因となるヒブと肺炎球菌ワクチンを定期接種化し、子宮頸がんワクチンに公費助成することを求めました。長妻厚生労働大臣は、「この3種は優先順位が高い。法定接種や公費助成についても議論を急いでもらおうと考えている」と述べました。 また、東京都は、子どもの子宮頸がんと肺炎球菌ワクチンの予防接種に助成する自治体に、包括補助する方針を決定しました。国や東京都もワクチン接種の経済的負担軽減の方向で前向きの姿勢を示し、23区でも、今年度予算で費用助成が大きく拡充しています。ヒブワクチンの助成は、新宿区も含め18区が実施しており、子宮頸がん、肺炎球菌、おたふく風邪、水ぼうそうに助成する区もあります。 この間、区議会では、日本共産党を含め複数の会派から、子どものワクチン接種の有効性と費用助成を求める意見が出され、これを受けて、区もヒブワクチンへの助成に踏み切りました。さらに一歩進めて、都の子宮頸がん、肺炎球菌ワクチン助成の方針を受け、新宿区もこの2つについては早急に助成を決断すべきと思いますが、いかがですか。 その上で、新宿区として都内のすべての子どもたちが接種を受けられるよう、包括補助ではなく、目的を特定した補助金や負担金にするよう、都に対して要望すべきです。また、全国すべての子どもに行き渡るよう、ヒブ肺炎球菌、子宮頸がんなどのワクチン接種を、定期接種化、公費負担にするよう政府に要望すべきです。区長の御所見を伺います。 経済的負担軽減とあわせて、保護者がワクチン接種に連れていきやすい工夫も求められます。改正育児・介護休業法施行により、子どもの看護のための休暇日数が拡充されます。新宿区社会福祉事業団は、この機会に子どもの看護休暇に予防接種を含む規定の改正をしました。改正法は従業員100人以下の職場では、2年おくれの施行となっており、まだ事業団のように予防接種を範囲に含む義務もありません。 保護者が職場に気兼ねすることなく予防接種に行けるよう、区内の企業に予防接種も看護休暇に含むよう働きかけるとともに、医師会と相談して、土曜日の午後や日曜日にワクチン接種が可能となるよう計らっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎区長(中山弘子) まず初めに、国民健康保険についての御質問です。 短期証の発行基準を見直し、もっと緩和すべきではないかとのお尋ねです。 国民健康保険制度は、区民の皆様に支えていただいており、滞納を解消して収納率を上げることは極めて重要な課題です。短期証の交付に至るまでには、督促状及び催告書の発送、徴収嘱託員による訪問、夜間・休日納付相談などを行っています。 このような対策を行っても連絡がつかない方は、納付困難な実態について把握することができません。そのため、有効期限が短くても一般証と同様に医療機関で受診できる短期証を交付して、更新のたびに被保険者との接触を図り、相談をしながら保険料の滞納解消に努めているところです。 今後も、保険料の確実な納付に結びつけるために、短期証の交付基準を見直す考えはありません。 次に、本質は解雇なのに自己都合にさせられた失業者への減免の拡大適用についてのお尋ねです。 区では、非自発的失業者に係る国民健康保険料の軽減について、離職者がハローワークで失業給付の際に発行される雇用保険受給資格証に基づいて軽減の手続を行っています。既にハローワークにおいて、離職者の離職理由が解雇にもかかわらず自己都合になっている場合、事業所に事実を確認し、離職理由を変更しているため、新宿区独自の対応は必要がないものと考えております。 次に、保険料減免の取り扱いに関する基準の引き上げについてのお尋ねです。 減免の基準は、特別区国民健康保険事業の調整に関する共通基準の一つとして定めており、新宿区だけが引き上げることは考えておりません。 次に、子どものワクチン接種に対する助成の拡充についてのお尋ねです。 1点目の子宮頸がんワクチン、肺炎球菌ワクチンに対する助成です。 国も、この2つのワクチンについては、予防接種の法定化やワクチン接種費用の負担のあり方などについて検討することとしています。これらの動向を踏まえ、区の財政状況を見きわめた上で、各種予防接種の優先度などを含めて検討してまいります。 2点目の包括補助ではなく、目的を特定した補助金や負担金にするようにとの都への要望についてです。 現在、都が行っている包括補助事業は、任意の予防接種事業を支援するためのものです。予防接種は、区市町村事業であるため、目的を特定した補助金や負担金とする要望を行う考えはありません。 3点目のワクチン接種の定期接種化や公費負担にするようにとの政府への要望についてです。 接種費用の自己負担、公費負担のあり方については、公衆衛生対策として地域格差や経済的理由によって接種を受けられないことがないよう検討すること。その際、疾病の種類によっては、保険診療の適用も検討することを全国保健所長会を通じて国に要望しています。 4点目の保護者が子どもを予防接種に連れていきやすくなるような企業への働きかけについてです。 子どもの予防接種の大切さを周知し、保護者が接種に行きやすい職場環境を整えるよう、企業に対し働きかけてまいります。 次に、土曜日の午後や日曜日にワクチン接種が可能となるような取り計らいについてです。 予防接種は、接種後数時間から数日間の体調観察も必要です。接種を受けた子どもの体調に変化があった場合、適切な対応がとれるよう接種医療機関での体制を整えることも不可欠と考えます。 こうした点も踏まえて、土曜日の午後や日曜日に、ワクチン接種が可能かどうか、医師会と話し合ってまいります。 ◆32番(雨宮武彦) 次に、住まいの確保策についてお伺いします。 第1に、仕事や住居を喪失した方への支援についてです。 昨年10月から始まった住宅手当緊急特別措置事業の区の取り扱い件数は、3月までの半年間で、申請数370件で支給150件、4月以降も150件を超える申請が行われており、担当課の窓口は引きも切らない現状です。これまで支給に至った割合は4割で、あとの6割は利用できていません。 その理由で最も多いのが、借金を抱えているために、敷金、礼金等の住宅入居費を含む総合支援資金が借りられないことだと聞きました。入居費が借りられなければ住宅が借りられず、そうなれば住宅手当も受けられず、手当が前提条件の生活支援金もだめで、自立支援の相談に行くか、路頭に戻ることになります。相談に来られた方が半年でまた自立支援センターに戻ったということも聞きました。 総合支援資金は、借金がある方は、債務整理のめどがつかなければ申請ができず、区の窓口では、一たん生活保護を受給して自己破産の相談に乗ってもらい、破産申請のめどをつけて申請し、免責決定が出て、破産手続を完了したところで支給に結びつけるなどのきめ細かい対応もしていると伺いました。しかしいかんせん、相談者が多く、社会福祉協議会の相談予約も4日から5日先といったありさまで、職員は相談から処理まで少人数で四苦八苦しています。 そもそもこの制度は、派遣切りなどで仕事も住宅もなくした方が対象であり、窓口にたどり着くまでかすみを食べてきたわけではなく、借金があることは十分考えられます。そうした方も、一たん住宅を確保して、その後で法律扶助制度も活用して債務整理手続に入り、安心して求職活動に専念できるように、制度の改善を図るべきではないでしょうか。 消費者支援の窓口や社会福祉協議会の努力にこたえて、区として制度の改善を国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第2に、高齢者が安心して住める住宅の確保策についてです。 現在、新宿区は、区内の約100店舗の住みかえ促進協力店と連携し、高齢者等入居支援事業を実施しており、新宿区が業界団体と協力して高齢者の住宅確保に取り組んでいるものと評価しますが、制度の改善が必要と思われます。 一つは、周知の問題です。高齢者等入居支援事業の実績は、2007年度助成6件、2008年度助成3件、2009年度助成6件にとどまっています。新宿区は、住みかえ促進協力店に、制度説明やチラシを配布するなど周知に努めているとのことですが、私が遭遇した事例でも、協力店の方でも、制度を御存じなく、保証人がいなくて困っていらっしゃる借り主にこの制度を利用するようにとお薦めしていませんでした。 そこでお伺いします。 高齢者等入居支援事業について、住みかえ促進協力店にどの程度周知がされているでしょうか。住みかえ促進協力店の拡大とあわせ、さらに周知をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 もう一つは、区が紹介する保証会社をふやすことについてです。 高齢者等入居支援事業について、不動産業者の方に聞くと、それぞれが保証会社を利用しているので、新宿区の紹介する1社だけだと使いにくいとの声がありました。 そこでお伺いします。 宅建業界などの業界団体によく意見を聞くなどして、一定の評価をした上で保証会社をふやすべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、高齢者の家賃補助について伺います。 2009年の区民意識調査でも、転出したい理由で家賃が高いと答えた方が29.3%ですが、高齢になるほど深刻と思われます。それは、ことし2月の都営住宅単身者向け申し込み倍率が新宿区では約137倍となっていることから見てとれます。 2007年4月、住宅まちづくり審議会は、「年金等に頼らざるを得ない高齢者世帯に対する家賃助成は、高齢者の居住の安定確保に有効な政策手段であると考えられる」「導入するに当たっては、対象、給付基準、財政負担など、克服すべき課題も多く、慎重に検討していくことが必要」との答申を出しました。答申から既に3年たち、慎重に検討したとしても、もうそろそろ結論を出していいころと思いますが、この検討はその後どうなっているのでしょうか。早急に検討し、家賃助成を開始すべきと考えますが、区長の御所見をお聞かせください。 ◎区長(中山弘子) 住まいの確保策についてのお尋ねです。 まず、仕事や住居を喪失した方への支援について、住宅手当緊急特別措置事業の制度改善を図るべきとのお尋ねです。 当該事業は、平成21年10月から第2のセーフティネットとして、全国の区市町村で開始された制度です。新宿区では、社会福祉協議会との連携により、同一窓口で住宅手当から融資の相談まで行うことのできる体制を整備し、さらに生活福祉課との連携によりワンストップサービスを行っています。 また、就労支援員による面談を通して、住宅手当受給者の常用就職へ向けた支援も提供し、総合的な生活支援策を実現しています。申請者の視点からきめの細かいサービスの提供を目指し、そのかいあって、150件を超える支給決定につながったと考えております。 現在でも、生活福祉課による法外援護からの支援を活用し、現行制度の枠組みの中で対応しています。今後も、生活福祉課との連携を強化し、法テラスだけでなく、消費生活センターで行う多重債務相談など、提供可能な支援を活用し、現行制度の中で取り組んでまいります。 また、現場で把握した制度上の問題については、厚生労働省に対し、改善の方向性を必要に応じて提供してまいります。 次に、高齢者が安心して住める住宅の確保策についてのお尋ねです。 初めに、住みかえ促進協力店への高齢者等入居支援事業の周知についてのお尋ねです。 区では、東京都宅地建物取引業協会新宿区支部が実施する住みかえ促進協力店向けの説明会に出席し、当事業の説明を直接行うほか、すべての促進協力店に対し、パンフレットやポスターを配布しています。今後も、同協会新宿区支部と連携をとりながら、促進協力店の拡大を進めるとともに、効果的な周知方法を検討していきます。 次に、区があっせんする保証会社をふやすべきとのお尋ねです。 保証会社をふやすことについては、利用者サービスの向上を図るため、今後検討してまいります。 次に、高齢者世帯に対する家賃助成についてのお尋ねです。 区では、平成19年度の新宿区住宅まちづくり審議会答申、新宿区における新たな住宅政策のあり方についてを踏まえ、御質問の家賃助成を含めた住宅施策全体について検討し、同年度に新宿区住宅マスタープランを策定しました。 そして、同マスタープランに基づき、高齢者等入居支援、住みかえ居住継続支援、住宅相談などの事業の充実やワンルームマンション条例の改正による高齢者用住戸の設置割合の引き上げなど、高齢者の住まいの安定確保のための施策を実施してきたところです。 御提案の高齢者世帯に対する家賃助成については、財政負担など克服すべき課題が多く、実施する考えはありません。 以上で答弁を終わります。 ◆32番(雨宮武彦) 区長と教育委員会から答弁をいただきました。ありがとうございました。 2点だけちょっと指摘をしたいんですけれども、平和条例のことについてですが、区長の平和への取り組みについては評価しているんですけれども、私どもがこの平和条例にこだわるのは、やはり区長さんが次の区長さんにもしかわっちゃったりすると、これはやっぱり条例があれば系統的にきちっと引き継いでいけるんですよ。 ですから、私も中野区の平和条例を見ても、本当にこの憲法を遵守するとかそういった形で、区を挙げて平和の取り組みをするということを条例できっちり決めているんですね。ですから、あそこももちろんこの非核都市宣言もしていますし、そういったことはあるわけですけれども、ぜひ区長さんも先ほど3期目立候補するという表明をされましたけれども、引き続き--引き続きというか、ぜひ検討を、条例づくりの検討をしていただいて、やはり区長が交代して平和行政が後退するということのないように、きちっとこの平和条例をつくっていただきたいと。 そうすることによって、教育委員会も努力しているということは伺いましたけれども、私も学校に行って、平和マップをどうしましたと聞いたら、子どもたちに配りましたよというふうに言って、先生によってはきちっとこの趣旨を話してくださる方もいたようですが、子どもたちに聞くと「はい、もらってきた」と言って家庭に持ってきたという声も聞いておりますので、ぜひそういった点では貴重な税金を使ってつくったパンフですので、有効に使っていただきたいし、そういうことも含めてやはりこの条例をきちっとつくることによって、教育委員会も区長部局も、すべての行政に力を入れることができるんじゃないかというふうに思うだけに、ぜひ引き続き検討していただきたいと。 あと、PAC3の問題ですけれども、やはり区長も今までも自分たちの自治体についてきちっと対応していくということは言ってきたわけですから、やはり国に対して、平生は新宿御苑という国民の公園であり、区民の憩いの場ですから、本当に防衛省のミサイル防衛構想を読むと、もう着々とそういうミサイルがあちこちに配置されて、北朝鮮から撃たれたらこうするんだみたいなことが現実に進んでいるだけに、やはり防衛省があり、この前も配置されているわけですから、そういったことだけに御苑にはやっぱり配置すべきではないという立場で、きっちりと国に交渉すべきというふうに思いますので、そのことを述べて質問を終わります。以上です。ありがとうございました。答弁は要りません。(拍手) ○議長(深沢としさだ) 次に、5番平間しのぶ議員。     〔5番 平間しのぶ議員登壇、拍手〕 ◆5番(平間しのぶ) 民主党新宿区議会議員団の平間しのぶです。私は、平成22年第2回定例会に当たり、会派を代表して質問いたします。誠意ある御答弁をお願いいたします。 早速質問に入らせていただきます。 まず、外国人施策のあり方について伺います。 新宿区には、大久保地域を中心に多くの外国人の方が住み、働き、学んでいます。2010年3月に策定されました新宿区外国人への情報提供ガイドラインを見ましても、外国人登録者数は増加傾向であり、平成22年1月1日現在で3万5,211人、新宿区人口の11.1%にも上っています。国籍別に見てみましても、116カ国の外国人の方が新宿区で生活していることがわかります。 実際の生活面でも、地域の中では文化や言葉の違いによってさまざまなトラブルが起こり、多文化共生がいかに難しくデリケートな問題かを再認識したところです。 しかし、このような文化や言葉の違いから、さまざまな困難を抱えている外国人の方々をサポートしているNPO等の活動団体もあります。新宿区においても、こういったNPO等の活動団体や地域の方と連携し、多文化共生施策に取り組んでいただいております。外国人の皆さんが、どのような情報提供を望んでいてサポートを必要としているのか、地域の皆さんやNPO等の活動団体の皆さんがどのような困難を抱えていらっしゃるのか、意見をしっかり聞いた上で、新宿区としてどのように施策に結びつけていくかということが重要であり、多文化共生の推進につながると考えます。 新宿区でも、平成18年にネットワーク連絡会を設置し、広く意見を伺い、情報の共有化を行っています。私も、ことしの3月30日にしんじゅく多文化共生プラザで行われたネットワーク連絡会を傍聴させていただきました。2時間という限られた時間の中、参加者から活発な意見が出され、議論されているところを見させていただきました。区長を初め、所管の部課長が出席され、参加者の意見に耳を傾ける様子を目の当たりにし、多文化共生に関しての新宿区の積極的姿勢を感じました。 このことに関し敬意を表した上で、質問いたします。 1点目の質問です。ネットワーク連絡会のあり方について伺います。 会議の開催頻度、時期が余りに不定期です。回数だけ見ても、平成17年度、18年度は各2回、平成19年度、20年度は2回、平成21年度は1回でした。しかも、平成20年度の最後の会議から平成21年度の会議まで、約1年あいてしまっています。参加者の意見でも、年に4回は会議を開いてほしいと発言がありました。予算だけ見ると増額されているので、積極的に思えますが、会議やイベントに結びついているように思えません。また、興味のある方が自由に参加できるとしていますが、連絡会の開催情報の周知はどのようにされているのですか。広く周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。今年度のネットワーク連絡会の開催計画とあわせてお聞かせください。 2点目の質問です。ネットワーク連絡会で出された意見をどのように施策に反映しているのかということです。 地域の実情を踏まえた上で、活動している皆さんの現場の声が活かされた施策展開を検討していただき、町会と地域の皆さんと外国人の皆さんとNPO等の活動団体、そして新宿区が協力して多文化共生を推進すべきと考えます。また、一口に多文化共生といっても、防災、教育、福祉とさまざまな分野に影響が及びます。多文化共生は、全庁的に検討していくべきです。担当の所管を中心に、庁内でも多文化共生の連絡会を開き、積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 3点目の質問です。外務省のホームページや新聞報道によりますと、ミャンマー難民の第三国定住を日本がアジアで初めて受け入れるとされています。規模は今年度から毎年30名ずつ、3年間で90名を受け入れる予定です。受け入れの事業者はまだ公表されていないようですが、新宿にはいわゆるミャンマーのコミュニティが中井と高田馬場にあり、新宿内で受け入れることも十分想定できます。 しかし、日本の文化や習慣、生活様式と全く異なる生活をしてきた難民の方々が定住していくためには、それなりの教育や訓練を受ける必要があり、そのためのプログラムも実践していかなければなりません。区内での受け入れに当たっては、地元の理解及び一定の協力も必要になってきます。新宿区としては、受け入れを想定し、何らかの対応をされてきたのでしょうか。 また、受け入れに当たっては、第一義的には外務省が地元対応も含めて行うべきだと考えますが、区の役割はどのようになってくるのでしょうか。 以上、答弁を求めます。 ◎区長(中山弘子) 平間議員の御質問にお答えします。 外国人施策のあり方についてのお尋ねです。 初めに、ネットワーク連絡会の今年度の開催計画と周知方法についてです。 ネットワーク連絡会は、これまでしんじゅく多文化共生プラザの利用者、利用団体、外国人への支援団体、町会、商店会等がメンバーとなり、外国人を対象とするホームページの内容や防災、子どもの教育といったさまざまな分野について活発に議論を行ってきました。 今年度、新たに多文化共生担当副参事と、しんじゅく多文化共生プラザの専任所長を配置し、多文化共生施策を推進する体制の強化を図りました。これにより、年2回程度だったネットワーク連絡会を月1回の実施とするなど、より活性化してまいります。 具体的な開催計画としては、まず6月中旬に第1回目の連絡会を開催し、その後は、プラザのあり方やプラザをより周知するための行事内容の検討等を行うための分科会を設置し、より議論を深めてまいります。 周知については、これまで連絡会に参加してきた利用者や団体を中心に行い、まだ連絡会に参加したことのないプラザの利用団体にも声をかけています。今後は、区のホームページで連絡会の進行状況や開催予定を掲載し、広く周知をしてまいります。 次に、ネットワーク連絡会で出された意見の施策への反映についてのお尋ねです。 昨年末に策定した外国人への情報提供ガイドラインの実効性を担保するために、庁内に連絡会議を設置する予定です。この連絡会議を活用しながら、ネットワーク協議会で出された意見を共有し、地域課題の解決に向けた全庁的な取り組みに努めてまいります。 次に、第三国定住難民の受け入れについてのお尋ねです。 外務省は、平成20年12月16日の閣議了解に基づき、タイの難民キャンプで生活するミャンマー国籍の難民を日本で受け入れる第三国定住難民の受け入れについて準備を進めています。また、同年12月19日の難民対策連絡調整会議では、社会生活への適応指導や日本語教育、職業訓練等の定住支援のためのプログラムを180日間行うことが定められました。 御指摘のとおり、区内にはミャンマー人のコミュニティが存在し、また難民のための支援センターがあることから、定住支援プログラムが区内で実施される可能性があります。そうした認識を踏まえ、外務省に対して地域住民やコミュニティ団体への事前の説明や意見聴取の早期実施、定住支援プログラム終了後の住宅と食の確保についての検討等について、既に本年2月に要請をしたところです。 今後も積極的に情報収集に努めるとともに、外務省が行う地域への対応等について十分協力してまいります。 ◆5番(平間しのぶ) 次に、新宿区の文化芸術振興について伺います。 新宿区では、にぎわいと活力にあふれる「文化芸術創造のまち 新宿」を実現していくための基本的な指針として、新宿区文化芸術振興基本条例を平成22年4月1日より施行しました。この中では、文化芸術の重要性を認識し、地域の特性を十分考慮した上で、区民、文化芸術団体、学校等、企業の役割、また新宿区の責務を規定しています。 また、区外から来る方々にも協力をしていただきながら、みんなで力を合わせて文化芸術振興に取り組む姿勢が明らかにされています。また、文化芸術振興会議を設置し、区内の文化芸術活動等について調査、検討を行い、持続的、継続的な活動を推進していくものとしています。 この条例は大変意義あるものであり、条例の前文にもありますが、自由で活発な文化芸術活動を展開することを通して、新宿のまちの持つ多彩な力を結集し、新宿区の目指すにぎわいと活力にあふれる「文化芸術創造のまち 新宿」の実現に大きく前進するものと考えます。 しかし、文化芸術活動を自由に、そして活発に行うにも資金の面で活動団体に多大な負担感があるのも事実です。無形文化財として実際に活発に活動を行っている団体であっても、指定文化財には新宿区からの助成がありますが、登録文化財には助成はされていません。もちろん各団体が自助努力をすることは当然ですが、実際活動していく上で相当程度の負担となっています。 私は、百人町で育ちましたが、中学生のときに皆中稲荷神社に社会科見学に行き、地域の方から、鉄砲組百人隊の話を伺い、自分の住んでいる百人町の歴史を学ぶと同時に、文化に触れることができました。大人になった今でも覚えています。 やはり地域の皆さんの理解と協力のもとで、文化芸術を後世にしっかり継承し、自由で活発な文化芸術活動が継続されていくことが振興と言えるのではないでしょうか。 そこで区長に端的に質問いたします。 1点目に、無形文化財への支援についてです。 区長の文化芸術振興への思いは、新宿区文化芸術振興基本条例に十分あらわれており、積極的に文化芸術振興にかかわっていただきたいと思います。 そこで、新宿の貴重な無形文化財を保存し、後世に伝承していくだけでなく、全国に発信し、多くの人に新宿を訪れてもらい、文化財に接していただくことや、後継者の育成等のために区としても一定の支援をしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。 2点目の質問です。さきにも触れたとおり、条例に基づく文化芸術振興会議を設置し、区内の文化芸術活動等について調査検討を行い、持続的、継続的な活動を推進していくものとしていますが、具体的にどのような調査検討を行い、その後どのように文化芸術振興につなげていくのかお聞かせください。 以上、答弁を求めます。 ◎区長(中山弘子) 初めに、無形文化財の支援に関するお尋ねについてです。 区では、文化財保護条例に基づき、無形文化財のうち指定無形文化財の活動には奨励金を支給するとともに、活動に必要な備品等の修理、保存に補助金を交付してきていますが、御指摘のとおり、登録無形文化財への助成制度はありません。 このような中で、区は無形文化財に対する支援として、これまでふれあいフェスタや民俗芸能フェスティバルで発表の場を確保するとともに、現在、新宿未来創造財団となった生涯学習財団や文化・国際交流財団を通して、高田馬場流鏑馬の公開や彦根市で開催された全国古式砲術・鉄砲サミットへの鉄砲組百人隊の派遣支援等を、登録、指定の別を問わず行ってきたところです。 無形文化財は、新宿の貴重な未来への遺産です。これらを次代に継承し、新宿のまちの魅力の一つとして発信していくためには、これまで綿々と受け継がれてきた無形文化財としての技や芸を磨くための発表の機会等を確保し、後継者を育てていくことが欠かせません。 そのため、現在、教育委員会と検討を進めている近現代の文化資源の保護、保存の仕組みとあわせて、条例上規定がない登録無形文化財の財政的支援策についても検討を進めるとともに、区の主催・後援事業等を通して、引き続き発表の場を確保することに努めてまいります。 次に、条例に定める文化芸術振興会議の具体的な調査、検討内容と、それをどのように文化芸術振興へとつなげていくのかというお尋ねです。 この4月から施行した文化芸術振興基本条例については、学識経験者、区民、文化芸術活動団体・学校等からなる新宿区文化芸術の振興に関する懇談会で、これからの文化芸術振興について幅広く議論し、取りまとめていただいた報告書を基本に条例化したものです。 私は、この多くの文化芸術の担い手の意見を聞き、さまざまな区内の文化芸術施設を訪れ、取りまとめていただいたこの報告書が、文化芸術振興の基本指針としての条例を実現していくための具体的な取り組みの方向性を示しているものと考えております。 そのため、新たに設置する文化芸術振興会議については、報告書に示された文化芸術振興の取り組みの方向性と、28項目の提言を中心に、区内の文化芸術振興の取り組み状況について調査、検討し、条例の目指すにぎわいと活力にあふれる「文化芸術創造のまち 新宿」の実現に向けて、持続的に文化芸術振興に取り組んでいくための意見をいただきたいと考えております。 振興会議で出された意見については、しっかりと受けとめ、区民、文化芸術活動団体、学校、企業等、多彩な文化芸術の担い手の力を私たち区民の力として結集して、これからの新宿のまちの文化芸術の振興につなげてまいります。 ◆5番(平間しのぶ) 次に、災害時等におけるBCPについて伺います。 いつ来るかわからないと言われている大規模震災や強毒性のインフルエンザの発生と流行といった、業務全体を行っていくことが困難になった場合、どういった形で必要最低限の業務を行い、またどの業務から再開していくのかといった取り組みは、社会全体の課題となっています。 大規模震災に関しては、東京都を含む南関東直下地震でいえば、2007年から2036年までの30年間に70%の確率で発生すると言われていますし、震災が発生した場合の首都圏における都市機能の麻痺も指摘されています。 また、インフルエンザの発生、流行でいえば、昨年メキシコから始まり、世界的に流行した新型インフルエンザのような流行が思い浮かびます。今回のインフルエンザは弱毒性でしたので、余り重症化はせずに、最終的には致死率も季節性インフルエンザより低い傾向にあったということでしたが、こちらもいつ強毒性のインフルエンザが流行するのかわからない状況です。 こういった災害や感染症の流行の危険性が指摘されてはいますが、現状では多くの事業者において、どのようにして必要最低限の事業を継続し、どの事業から復興させていくかといった事業継続計画は策定されていません。実際に内閣府が2009年7月14日に発表した特定分野における事業継続に関する実態調査の調査結果によれば、非常に公共性が高く、災害時に早期復旧が求められる医療施設や鉄道などの企業、団体に絞った結果ですら、策定率が18.4%にとどまるとの報告がされています。 国においては、少しでも計画の策定を促すために、例えば中小企業庁では中小企業へのBCPの普及を促進することを目的に、中小企業関係者や有識者の意見を踏まえ、中小企業BCP策定運用指針として、中小企業の特性や実情に基づいたBCPの策定及び継続的な運用の具体的方法を説明しています。 そこで、まず1つ目の質問ですが、新宿区のBCPの策定と継続的な運用について伺います。 地方自治体のBCP策定状況については、総務省が2010年4月に公表した地震発災時を想定した業務継続体制に係る状況調査結果によると、都道府県においては、47都道府県のうち、策定済みが5団体で策定中が16団体、市区町村では1,795団体中、策定済みはわずか1団体で、策定中を見ても169団体しかありません。 新宿区では、以前、同僚のおのけん一郎議員が質問をした際には、BCP計画については2カ年計画で実施中であり、平成21年度は地震編についてBCP計画をやっていき、次年度に向けては新型インフルエンザ、特に強毒性の部分を中心に考えているとの答えをいただいています。 そこで伺います。 現在、地震編についてはどこまで策定が進んでいて、また策定後はどのような形で継続的な運用を図っていくのでしょうか。 あわせて、インフルエンザ編の策定も急務だと思われますが、どのようにしていく予定なのかお聞かせください。 次に、民間との連携について伺います。 先ほども触れたように、まだまだ民間でのBCPの作成は進んでいません。国が進めていかなくてはいけないことではありますが、新宿区で行っているさまざまな事業の中には、指定管理のような形で、区が民間に事業を委託しているようなものもあります。このような事業者に対しては、本来、新宿区が行う事業をやってもらっているわけですから、いざというときにどのように区との連携を図っていくかも含めて、BCPの策定を促していく必要があるのではないでしょうか。 もちろん民間がかかわっているすべての事業を対象とするかどうかは議論をしなくてはいけないところですが、そのような議論も含めて、新宿区が行っている事業と関係が深い事業者のBCP作成を進めていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。 以上、答弁を求めます。 ◎区長(中山弘子) 新宿区の事業継続計画(BCP)についてのお尋ねです。 事業継続計画の地震編につきましては、現在、部長級で組織する新宿区災害対策推進委員会において内容の最終確認を行っており、本年7月末の完成を予定しています。 この計画は、地域防災計画に定める応急対策業務及び優先度の高い復旧業務、また業務停止により区民の生命や生活に大きな影響を及ぼす通常業務を非常時優先業務として抽出し、これらの業務遂行に当たっての課題と対応策について、基本的な考え方を示すものです。このため、策定後は、非常時優先業務の個別具体的なマニュアルを作成し、訓練等による検証を行い、その結果を計画に反映させるなど、継続的な見直しを行ってまいります。 また、事業継続計画の新型インフルエンザ編については、本年12月の策定を目途に検討を進めています。 具体的には、新宿区災害対策推進委員会において、昨年8月に策定した新宿区新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、本年3月策定の東京都事業継続計画新型インフルエンザ編との整合を図りながら、策定作業を進めてまいります。 また、区の事業との関係が深い事業者の事業継続計画の策定について、現在、区では、指定管理者や外郭団体、また民間委託による事業運営を数多く行っています。御指摘のように、非常時優先業務を実施する上で、指定管理者や委託事業者等との連携、協力体制づくりが不可欠と考えています。そのためには、まず事業者自身の災害時における事業の継続性が求められます。このため、昨年8月に、外郭団体や福祉施設の事業者を対象に、災害時の事業継続の必要性と新宿区の取り組みに関する説明会を開催いたしました。 今後ともさまざまな機会をとらえ、事業者に対する事業継続計画策定に向けた働きかけを行ってまいります。 ◆5番(平間しのぶ) 次に、新宿区の子どもの健全育成を目指す「地域協働学校」づくりについて伺います。 「子どもは世の宝」「子はかすがい」とは、古今東西言い伝えられてきた貴重な言葉です。そのとおりだと思います。中山区長も、その思いをいろいろな場で述べておられます。しかし、現実はどうでしょうか。子どもたちに対するネグレクト、児童虐待等の事例は後を絶ちません。 去る5月10日、民主党の「江端貴子と未来を考える集い」で、「人づくりは未来づくり~地域の力で未来をつくる」と題するシンポジウムに行ってきました。その中での杉並区立和田中学校前校長先生のお話と提言はショックでした。 以下、先生の訴えです。 「子どもたちの何と7割が、家に帰って『ただいま』『お帰りなさい』の日常がない生徒たちでした。その上、特に母子家庭では、働き疲れた母親との学校での話を初めとする家庭内会話が皆無の状況で、放課後に無目的に時間を過ごしているしかない。この間に誘われて道を誤ってしまうケースを幾つも扱ってきました。これは、愛する我が子を健全に育てるためには離婚をせざるを得ない母子家庭、共働きでなくては家庭を支えていけない共働き家庭、そして両親以外、保護者を持てない1世代世帯と、さまざまな社会環境がなせるわざです。 この問題解決は、学校でも家庭でもできないのです。皆さんの政治がやらなくてはならない問題なのです。言葉をかえれば、行政だけではなく、地域全体が子どもを育てる社会づくりが緊急の課題なのだ」と訴えられました。 そこで最初の質問です。 あえて以下2点の質問は、私自身の調査は抜きにして、区長自身からお伺いしたいと思います。 区内小・中学校の児童・生徒の母子家庭率は何%ですか。 また、区内小・中学校の児童・生徒の共働き家庭率は何%ですか。 次に、2番目の質問です。 家に帰っても保護者が待っていない多くの子どもたちのために、学童保育事業とその他の施策のより一層の充実が、新宿区政の必至のそして緊急の課題だとお考えになりませんか。 その上に立って、その現状と今後の事業計画、または対策をお聞かせください。 大きな第3の質問は、地域の力で子育てをする体制整備の問題です。 これは、「言うは易く、行うは難し」のこれからの課題でもあります。 その一つが、文部科学省がコミュニティスクール推進事業の第一歩として、平成16年9月9日より施行した地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5に規定されている学校運営協議会の活用であります。 それは、校長と地域の住民、保護者等が協働して学校づくりを行うとともに、より透明で開かれた学校運営を進め、地域に信頼される学校づくりを実現する観点から、各教育委員会の判断により、地域の住民や保護者等が一定の権限を持って学校運営に参加する合議制の機関として、学校運営協議会の設置を可能とするとしたものであります。 これを受けて、本区は、平成21年3月の新宿区教育ビジョンの中で、地域協働学校の推進を重点施策の一つとして、四谷中学校を平成20年度、平成21年度の新宿区地域協働学校推進モデルの指定を行いました。しかし、新宿区立学校における地域協働学校運営協議会に関する規則が施行されたのは、本年4月1日です。 この項で最初に伺いたいのは、他区の例として、杉並区では、平成22年4月までに11校の区立小・中学校に学校運営協議会が設置されていますが、法施行から丸5年もたった現在、本区は四谷中学校の1校のみで、その上、規則が本年4月施行というおくれはなぜなのですか。率直にお答えください。 また、モデル校の2カ年の成果と評価をお聞かせください。 ところで、さきの規則第4条、協議会の責務はこうなっています。「協議会は、教育委員会及び当該指定学校の校長の権限と責任のもと、学校と地域住民との双方向の信頼関係を深め、学校支援の充実を図ることで、地域に根ざした教育の機会を提供し、学校とともに子どもたちの豊かな学びと育ちの創造を図ることに努めなくてはならない」と。本区教育委員会のコミュニティスクール推進への取り組みのおくれはともかくとして、この協議会の責務、条項の中に、育ちの創造があることを高く評価いたします。 なぜなら、平成21年11月1日号の教育新聞に詳しく報道された地域協働学校モデル第1号校である四谷中学校の記事の最後に、「同事業が都市型コミュニティづくり、まちづくりの一環として位置づけられ、保護者、地域住民と一体となった区民の運動として展開していくための足がかりができた」と結ばれたように、豊かな学びは育ちの創造、つまり学校、地域、家庭が一体となった児童・生徒の健全育成こそがかなめだと確信するものだからです。 ですから、杉並区のように、区立小・中学校への地域協働学校運営協議会の設置を進めて、育ちの創造のための教育に直結した子ども支援の活動を展開すべきと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、教育委員会と子ども家庭部が一体となって、悲しい生活環境とも言える現在の日本社会に生きる子どもたちに、愛の手を差し伸べることができる抜本的施策を鋭意研究して実践していただきたいと思います。 以上、答弁を求めます。 ◎区長(中山弘子) 初めに、区内小・中学校の児童生徒の母子家庭率についてのお尋ねです。 区内小・中学校の児童・生徒の母子家庭率について数値を把握しておりませんが、平成17年度の国勢調査によれば、父子家庭も含まれ、子どもの年齢も限定できませんが、新宿区の一般世帯数に対するひとり親世帯数の割合は約6%になります。 また、平成21年度の新宿区におけるひとり親家庭への手当である児童育成手当の支給対象児童数から、父子家庭手当の支給対象児童数を除いて割り出しますと、約8%です。 次に、区内小・中学校の児童・生徒の共働き家庭率です。 母子家庭率と同様、数値は把握しておりませんが、平成17年度の国勢調査の家族類型別の世帯調査によると、東京都全体の数値ですが、最年少の子どもが6歳以上の核家族世帯で、夫婦共働き世帯の割合は42.3%です。 次に、学童保育事業や、その他の放課後自宅に保護者がいない子どもたちへの区の施策の重要性についてのお尋ねです。 ライフスタイルの変化等により、核家族化や多様な働き方がふえ、また、今日の厳しい社会経済状況から、共働き家庭もふえています。そのため、御指摘のように、放課後の子どもの安全・安心な居場所や、子育て支援施策をより一層充実させていくことが重要であると考えております。 次に、学童保育事業とその他の子育て支援の現状と今後の事業計画についてのお尋ねです。 現在、26カ所で区の学童クラブを実施しており、6月1日現在で1,082名が在籍しています。設置場所としては、地域の児童館に併設しているところがほとんどですが、小学校の空き教室等を活用して事業実施している場所も5カ所あります。その他、区が運営を助成している民間学童クラブも3カ所あり、124名が通っています。 開設時間ですが、従来は午前9時から午後6時まででしたが、保護者の多様な就労形態に対応するため、12カ所の学童クラブでは、業務を民間事業者に委託し、午前8時から午後7時まで保育時間を延長しています。 しかし、学童クラブ事業の対象が小学校3年生までなので、高学年も含めたすべての小学生に対する放課後の安全・安心な居場所として、従来から区内に21カ所ある児童館のほか、平成19年度から放課後子どもひろば事業を順次各小学校で開設し、現在24校となっています。平成23年度には区立小学校29校すべてで事業が実施される予定です。 また、核家族で近隣から孤立した親が子育てに悩み、育児放棄をしたり、虐待に走ったりしないよう、子ども家庭支援センターでは、18歳未満の子どもや子育て家庭のあらゆる相談に応じ、養育支援や虐待防止の取り組みに努めているところです。 子ども家庭支援センターは、平成12年に中落合に設置され、相談件数の増加に伴い、平成21年度には信濃町と榎町に開設することで、現在3カ所の子ども家庭支援センターで事業展開をしています。 今後の事業計画ですが、学童クラブの保育時間の延長要望にこたえていくため、さらに民営化を進め、柔軟な事業運営を図ってまいります。 また、東戸山中学校跡地には、平成23年度、来年度に(仮称)子ども総合センターを開設する予定で、児童館、学童クラブとともに4カ所目の子ども家庭支援センターを組み入れ、既存の子ども家庭支援センターを統括する役割と、障害を有する児童への相談、預かり対応の機能も持たせた子どものための総合施設として開設準備を進めています。 今後も、気軽に子育て相談や子育て中の親同士の交流ができ、多くの大人の目がある安全・安心な子どもの居場所の拡充を進めることで、互いに支え合える子育てしやすいまちの実現に努めてまいります。 ◎教育長(石崎洋子) 教育委員会への御質問にお答えします。 地域協働学校に関するお尋ねです。 まず、学校運営協議会を設置する学校の広がりや規則制定がおくれたことについてのお尋ねです。 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正から5年を経過しました。東京都における学校運営協議会を設置する学校の状況は、平成22年4月1日現在、62の自治体のうち10の自治体であり、公立小・中学校1,936校のうち110校です。東京都のみならず、学校運営協議会を設置する学校は、全国的にも少ないのが現状です。 教育委員会では、平成20年度から平成21年度にかけて2年間、四谷中学校をモデル校に指定するとともに、保護者、スクールコーディネーター、校長を構成員とした地域協働学校推進委員会を設置し、課題の検討及び規則(案)の作成などについて協議をしてまいりました。 着実に準備を行ってきた結果、協議会の機能や協議会と学校との関係、地域とのかかわり方などについて十分な検討とモデル校の研究の成果の検証を行い、保護者や地域住民等による学校支援を重視した新宿区に合った規則を制定することができました。 次に、モデル校の成果と評価についてのお尋ねです。 モデル校では、学校と地域との連携や学校運営協議会のあり方等の研究を行ってまいりました。学校と地域との連携の成果としては、協議会の委員が地元商店街等に働きかけ、生徒の職場体験活動の受け入れ事業所数が拡大したことが報告されています。 また、協議会が学校の応援団としての機能を発揮するためには、協議会の委員には学校支援の経験がある人材が必要であることなどが明らかになりました。 これらは、学校での実践研究を通して得られた成果であり、規則の制定や協議会の組織づくりに反映することができたと評価しております。 次に、学校運営協議会を全校に設置することについてのお尋ねです。 現在、学校運営協議会を設置する学校は四谷中学校1校ですが、本年度より地域協働学校準備校として四谷小学校、四谷第六小学校、花園小学校の3校を指定しています。 地域協働学校は、学校、家庭、地域が一体となって行う学校づくりです。これまでも、学校は保護者、地域住民等との連携を図りながら教育活動に取り組んできましたが、学校運営協議会を設置するためには、さらに保護者、地域住民等が学校運営に参画する機運の高まりや制度の理解が不可欠です。 したがって、指定校、準備校となっている4校の本年度の取り組み状況や成果を区内すべての小・中学校及び地域の学校関係者に周知し、今後、学校運営協議会を設置する学校をふやしてまいります。 以上で答弁を終わります。 ◆5番(平間しのぶ) 大変丁寧な答弁をいただきましてありがとうございました。 これで私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(深沢としさだ) 以上で本日の代表質問は終了しました。--------------------------------------- ○議長(深沢としさだ) 次に、日程第2を議題とします。     〔次長議題朗読〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △議員の派遣について  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(深沢としさだ) お諮りします。 本件については、お手元に配付しました文書のとおり、議員の派遣をしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(深沢としさだ) 異議なしと認めます。 本件は配付文書のとおり議員の派遣をすることに決定しました。---------------------------------------             議員派遣について 地方自治法第100条第13項及び新宿区議会会議規則第120条の規定により、下記のとおり議員を派遣する。                 記 1 沖縄県、広島市及び長崎市主催の平和祈念事業 (1)派遣目的    「新宿区平和都市宣言」の趣旨を実現するため、沖縄県、広島市及び長崎市主催の平和祈念事業へ参加する。 (2)派遣場所    ①沖縄県糸満市    ②広島県広島市    ③長崎県長崎市 (3)派遣期間    ①平成22年6月22日から6月24日    ②平成22年8月5日から8月6日    ③平成22年8月8日から8月9日 (4)派遣議員    ①各会派から推薦される4人以内の議員    ②各会派から推薦される3人以内の議員    ③各会派から推薦される2人以内の議員--------------------------------------- ○議長(深沢としさだ) 次に、日程第3を議題とします。     〔次長議題朗読〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △第53号議案 平成22年度新宿区一般会計補正予算(第2号)     〔巻末議案の部参照〕 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(深沢としさだ) 提出者の説明を求めます。     〔中山弘子区長登壇〕 ◎区長(中山弘子) ただいま上程されました第53号議案 平成22年度新宿区一般会計補正予算(第2号)について御説明いたします。 今回、歳入歳出予算を補正する額は、それぞれ2,524万2,000円です。 歳出予算から述べますと、地域文化費において、多目的運動広場等の整備に要する経費2,524万2,000円を計上するものです。財源としては、繰入金を充当するものです。これを補正前の予算額と合わせますと、歳入歳出予算の総額はそれぞれ1,413億6,941万9,000円となります。 以上、御審議の上、御賛同いただきますようよろしくお願い申し上げます。 ○議長(深沢としさだ) 説明は終わりました。 ただいま議題となっています第53号議案は、お手元に配付しました議案付託表のとおり総務区民委員会に付託します。--------------------------------------- ○議長(深沢としさだ) 以上で本日の日程は終わりました。 次の会議は6月10日午後2時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知しませんので、御了承願います。 本日はこれで散会します。 △散会 午後6時53分                  議長    深沢としさだ                  議員    赤羽つや子                  議員    雨宮武彦...